記事ランキング
ブログパーツ
最新のトラックバック
外部リンク
以前の記事
2021年 01月 2020年 11月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 more... カテゴリ
全体
国外アート 西洋中世美術 ルネサンス バロック 印象派 印象派後期 現代アート(国外) 東洋アート 仏像 国内アート 江戸絵画(浮世絵以外) 浮世絵 近代日本美術 戦争画 現代アート(国内) アート一般 書籍 音楽 映画・写真 講演会 北海道の鈴 東北の鈴 関東の鈴 中部の鈴 関西の鈴 中四国の鈴 九州の鈴 ヨーロッパのベル アジアのベル アメリカのベル オーストラリアのベル 未分類 フォロー中のブログ
検索
その他のジャンル
ファン
ブログジャンル
画像一覧
|
いつも車で外苑を通り抜ける時や青山通りからも見ていた素晴らしい建物。今まで畏れおおくて敬遠していたのだが、今回初めて入ってみた。1月6日の日曜日のことである。明治神宮の内苑が正月の参詣客で賑わっている中、外苑のこの辺りの人影は少なかった。
![]() 壁画は向かって右側のホールに日本画が40面、左側のホールに西洋画40面の壁画が飾られている。室内は寒く、ダウンジャケット・手袋・マフラーの完全装備。観客は、私の他に中年カップルと若い手つなぎカップルの合計5名。これでは暖房費を節約しなければならない理由も明らかである。 ![]() ![]() 全80面が揃ったのは揮毫者決定の10年後の昭和11年であったが、画家たちは、二世五姓田芳柳制作の「画題考証図」を基本とし、資料や現地取材などに基づいて制作を進めた。ただし、その画稿は、「下図持寄会」のチェックを受け、その際に構図や人物の描き方などに大幅な改変を求められた場合もあったとのことである。 このような制約下の作品なので、必ずしも当該画家の代表作ばかりとはいえないが、観る者の感性に触れてくる作品も少なくない。以下に、そのような作品を紹介したいと思う。 また当時としては一流画家を選んで描かれたのであろうが、現在は忘れられた存在となっている画家もあって、その芸術性については全部が超一流というわけではないけれども、歴史資料としてはきわめて貴重であることは間違いがない。 本稿を書くにあたっては、明治神宮外苑聖徳記念絵画館「壁画集」ならびに 打越孝明著の「明治天皇のご生涯」↓を参考にさせていただいた。 ![]() 2.北野恒富《御深曽木》: 1860年、祐宮(さちのみや)7歳。元服の準備のために鬢を整える儀式。「曽木」とは「削ぎ」の意味。吉方に向かって置かれた碁盤の上に祐宮が乗っている。2011年に行われた悠仁さまの「深曽木の儀」の写真が、上述の打越孝明著に掲載されている。 5.邨田丹陵《大政奉還》: この有名な絵の下図↓は、二条城展@江戸東京博物館で見ているが、本画の迫力は圧倒的だった。 ![]() 6.島田墨仙《王政復古》(↓最上図) ![]() 7.松林桂月《伏見鳥羽戦》: 戦争画。長州藩の奇兵隊が薩摩藩の大砲の援護を受けて,會津藩兵を攻めたてている。 13.結城素明《江戸開城談判》: 西郷と勝の談判の絵は教科書にも出てくる。結城素明の画で今までに見たものは、《五節舞之図》、《炭窯》、《歌神》、《囀り》など。 14.岡田三郎助《大阪行幸諸藩軍艦御覧》: 洋画家の岡田三郎助が描いた珍しい日本画。 20.小堀鞆音《廃藩置県》 21.山口蓬春《岩倉大使欧米派遣》(↑第2図) 22.前田青邨《大嘗祭》 30.堂本印象《侍講進講》: 教えているのは、熊本藩出身の元田永孚。教育勅語を寄贈した人物。堂本印象の絵はこちらやこちらで見ている。 31.木村武山《徳川邸行幸》: 木村武山の作品は、こちらやこちらで大分見ているが、この《徳川邸行幸》の見事な満開の桜は彼の作品の中のベストの一つだろう。 37.近藤樵仙《西南役熊本籠城》: 戦争画。 40.鏑木清方《初雁の御歌》: 美人画の名手。皇后や女官といっても全くビビッていない。素晴らしい作品である。 (西洋画) 43.五味清吉《山形秋田巡幸鉱山御覧》: 展示されている壁画は、明暗のコントラストが印象的な佳作。なお、この画家の自画像はこちらで見た。 46.上野広一《条約改正会議》 50.五姓田芳柳《枢密院憲法会議》(↑第3図): この壁画の下図をすべて描いた五姓田芳柳62歳の時の作品。美術品として優れているとともに、歴史資料としても一級品である。二世五姓田芳柳のことは、五姓田のすべて@神奈川県立歴史博物館に詳述した。 53.山下新太郎《歌御会始》: この画家の個展をブリヂストン美術館で見ているが、ここに出ている絵は彼の画としては少し硬い感じがする。 56.小杉未醒《帝国議会開院式臨御》: この画家のことは「小杉放菴と大観@出光美術館」に書いたが、今回の壁画も立派。 57.長谷川昇《大婚二十五年祝典》: 色彩豊かな豊饒な作品。この画家の作品は初見。 58.金山平三《日清役平壤戦》: 戦争画。 59. 太田喜二郎《日清役黄海海戦》: 戦争画。太田喜二郎は、児島虎次郎とともにベルギー印象派のクラウスに習って、《樹陰》や《川辺の風景》を描いているが、第二次大戦時には再び戦争画の《陸軍記念日に》を描いている。 60.南薫造《廣島大本営軍務親裁》: 《スコットランド老人》、《少女》(①、②、③)、《日の出》、バーン=ジョーンズ原画《夫の無事を祈るブルターニュのドリゲン》などを描いたこの画家は私のお気に入りである。 61.石井柏亭《広島予備病院行啓》: この画家の水彩画や創作版画の作品は今までに沢山見てきている。今回の作品は、日本医学会・日本医師会が奉納したもの。 62.永地秀太《下関講和談判》: これは歴史資料として貴重。この談判が行われた下関の春帆楼に行ったことがある。この部屋はその時には保存されていた。この画家の作品は初見。 63.石川寅治《台湾鎮定》: 一種の戦争画。同一画家の作品《裸女十種 青春》との落差が大きい。 65.川村清雄《振天府》: 昨年、江戸博で、この作品の下絵(明治神宮では下図、江戸博では下絵と呼称)を「川村清雄展」で見た↓。やはり、本画は素晴らしい迫力。川村が今回の画家の中では最高齢で、最初に画を完成させた一人である。 ![]() 68.吉田苞《対露宣戦御前会議》: この画家の作品は初見。 69.荒井陸男《日露戦役旅順開城》: 昔、「旅順開城約なりて 敵の将軍ステッセル 乃木大将と会見の 処はいずこ 水師営」と歌ったことがある。 70.鹿子木孟郎《日露役奉天戦》: 戦争画。 71.中村不折《日露役日本海海戦》: 戦争画。 72.白瀧幾之助《ポーツマス媾和談判》: 戦争画。小村寿太郎が気の毒ですね。 75.安田稔《樺太国境画定》: ここに新印象派的な点描画を持ってくるとは、すごい度胸だ。 76. 中沢弘光《観菊会》(↑第4図): 現在の秋の園遊会。 77. 辻永《日韓併合》: 「山羊の画家」辻が描いたこの絵は穏やか。この画家の《無花果畑》と《初秋》を見ている。 78.藤島武ニ《東京帝国大学行幸》: この正門は今も健在。 80.和田三造《大葬》: もちろん大トリは大家でなければならない。 かなり時間をかけて観たので、絵画館を出た頃には夕暮れになっていた。建物を撮ったが、全体的に廟のような写真になってしまった。明治天皇と昭憲皇太后の御陵は京都に置かれているが、明治天皇と昭憲皇太后を祭神とする明治神宮は東京にある。お二人の事績壁画を納めた絵画館が廟のように見えるのは当然なのかもしれない。 ![]() 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2013-01-10 17:46
| 国内アート
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||