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Ⅰ.今までに見たシャガールの展覧会
シャガールに特化した展覧会は今まで国内でかなり見てきた。年代順にあげると下記のようである。 ・1992.4 シャガール ひびきあう色彩の詩展 @目黒区美術館 ・2006.12 シャガールとエコール・ド・パリ @青山ユニマット美術館 ・2007.4 シャガール その愛のかけら @宇都宮美術館 ・2010.7 シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い @東京藝術大学大学美術館 Ⅱ.今回の展覧会の特徴 Ⅲ.第1会場の展示 地下の第1会場のタピスリーは以下のようである。 まずは「サーカス」のセクション。 ・《サーカス1》1970年: 赤い馬に立ち乗りしている黄色のスカートの女性。鮮やかな色彩が目に迫ってくる。同じ構図のリトグラフ《赤い馬に乗る女曲芸師》が並んで出ていたが、タピスリーの大きさと色彩には及びもつかない。 ・《アルルカンの家族》1966年: 茶色の目立つ落ち着いた色のタピスリー。これに対応する同名のリトグラフも並置されていたが、迫力の差は如何ともしがたい。 ・《アルルカン》1993年: 馬に乗ったアルルカンが中央に描かれている315x525cmの大タピスリー。シャガールお得意の場面がいろいろ描きこまれている。絵葉書購入。 ・《平和》1993年: 410x620cmの巨大タピスリー。1階ロビーにこのタイトルのビデオが出ていた。シャガール生前に造られたタピスリーは小型のものが多くて、音楽でいえば室内楽や単一楽器の音楽のようなものだったが、シャガールはいずれ交響曲やオペラのような大規模な作品を作ることを願っていた。この巨大タピスリー《平和》は、サルブール市から依頼されたもので、シャガールの死後になって制作されたものであるが、同名のステンドグラスとともにそこのフランシスコ礼拝堂を飾っているとのことである。絵葉書購入。 ・《ダンス》1997年: 黄・赤・青の色彩が乱舞する。今回の私のお気に入りナンバーワン。絵葉書購入。 次は、「聖書」のセクション。 ・《創造》1971年: 画像の一部はフライヤー表面で見られる。黒い太い線が力強く、色としては青が目立つ。これに対応するリトグラフ《ダヴィデとパテシバ》でも青が目立っている。 ・《モーゼ》1973年: 茶色の力強いモーゼが「十戒」を示している。これは白黒のリトグラフ《コンポジション》から作成されたもので、シャガールはイヴェット・コキール=プランスにこのタピスリーは売れないだろうと予言していた。しかしイヴェットは自分が出資してこのタピスリーを制作した。この程度のサイズのタピスリーでは一点はシャガールに贈呈されることになっており、[0/1]はシャガールのものとなったが、[1/1]はシャガールの予言通り買い手がつかず、結局イヴェットのものとなったとのこと。 Ⅳ.第2会場の展示 続いてエレベーターで2階へ。まずは「雄鶏と恋人たち」のセクション。 ・《赤い雄鶏》1991年: 画像はフライヤー裏面の左上図。派手な油彩《「雄鶏杜恋人達」のエスキース》が3点出ていた。その中の1画像はフライヤー裏面左中に見られる。 ・《黒い手袋》2005年: 下に落ちている黒い手袋がなぜか目につく。このタピスリーの原寸大下絵が並んで出ていた(フライヤー裏面の右上図)。左右逆の鏡像であるが、細かい領域に分割され、それぞれに使用される毛糸の種類と織が略号で表記されている。いわばタピスリーの楽譜である。 次は「花束と人物」のセクション。 ・《花の中の少年》2004年: ソファーに坐って眺めていると、うっとりしてくる。 ・《画家の夢》1974年: これも和む。同名のリトグラフが並置されていたが、やはりタピスリーの魅力は圧倒的。 「地中海の青」のセクション。 ・《天使の湾》2003年: このタピスリーの縁が少し前面にめくれており、タピスリーの裏面すなわち楽屋を横から覗きこむことができる。そこには青の毛糸が沢山飛び出してきている。 「色の文割」のセクション。 ・《青と黄色の横顔》1973年: 画像は、フライヤー裏面左下。 参考資料として、タピスリー制作のための羊毛糸・櫛・道具と伝統的なゴブラン織りについて描かれた18世紀ごろの挿絵本がケースに展示されていた。 Ⅴ.会場のパネル展示 会場のパネルを読んでメモしてきたものは以下。 1. イヴェット・コキール=プランスの略歴。 ・1928年: ベルギー生まれ、ベルギー王立美術アカデミーに学ぶ。 ・1950年: 画家エミル・エックと結婚。息子をもうけた。 ・1957年: 離婚 ・1960年: 再婚 ・1966年: シャガールのタピストリー《アルルカンの家族》を初めて制作。 ・2005年: 死亡 ・イヴェットがタピスリーを制作した他の画家: ピカソ、クレー、カンディンスキー、エルンスト、マッタ、レジェなど。 2.シャガールの有名作品 ・ステンドグラス: サルブール・フランシス会礼拝堂《平和》 ・ステンドグラス: ランス大聖堂 ・天井画: オペラ座 ・モザイク画: ニース大学《オディッセウスの教え》 ・陶板画: プラトゥ・ドゥ・アッシ慈善聖母教会《紅海を渡る》 ・ シャガール美術館: 聖書メッセージの油彩画17点に他、ステンドグラス・モザイク・彫刻・レリーフ・陶板・タピスリー Ⅵ.ビデオ映像 ビデオ映像「平和」は、1992年に制作されたもので、イヴェット・コキール=プランス自身のナレーションが勉強になった。このビデオの最後に登場したタピスリー「平和」についての話は既述したが、その前に出ていた技術的な話の要点は以下のようである。 ・毛糸は25色。カルトン(下絵)を織機の下に置き、足踏みで縦糸の間を開いて、横糸を通していく。 ・19世紀には伝統的なタピスリー制作は行われなくなっていたので、イヴェットは、クリュニー中世美術館・ルーヴル美術館・パリ装飾美術館の実物を研究した。 ・画家の気持ちを知るために、自分でも画の描き方の勉強をした。タピスリー制作にあたっては、自分の考えは抑えて、「彼だったらどうするか」ということを重視した。 ・実際の制作にあたっては、3cmのものが30cmに拡大してしまうので、この拡大に合わせて色を調整する必要がある。 ・制作時間は小さいものでも1月以上、大きなものでは1年以上かかった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ なかなか良い展覧会だった。シャガールの大きなタピスリーに囲まれて至福の時を過ごすことができた。 出口でポストカード3枚を購入した。残念ながら、これらは葉書サイズに押し込められたタピスリー画像の一部なのでとても全体像とはいえない。この葉書によって実際に会場で感じられた圧倒的な大きさと色彩を伝えることは不可能である。 Copyright ©2013 * 美術散歩 管理人 とら * All rights resered
by cardiacsurgery
| 2012-12-21 11:18
| 国外アート
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