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江戸時代から大正時代までに使われた喫煙具としては、「きせる」の他に、刻みたばこや火付け道具など喫煙に必要な道具をまとめておく「たばこ盆」が、外出時に携帯するためには「たばこ入れ」が必要であり、人々はこぞって珍しい素材や凝った細工の喫煙具をあつらえたとのことである。
今回の展覧会は、これらの喫煙具に詰め込まれた職人の技の妙を紹介したもの。 私がこの展覧会を見に行った主な理由には、浮世絵にしばしば出てくるこれらの喫煙具の概要を知っておきたいと思ったからである。 講演内容は、このパンフレットに沿って説明されたものだったので、非常に分かりやすかった。 1.きせるで嗜む細刻み: 細刻みのたばこは日本独特のもの。 「きせる」は、火皿・雁首・羅宇・吸口からなる。羅宇にヤニがたまると、「羅宇屋」に掃除あるいはすげ替えを頼んだ。 酒井抱一X原羊遊斎の《銀御殿菊に蝶図きせる》(↑チラシ裏面)は必見。 「たばこ盆」は、火入れ・灰落し・たばこ入れ(箱あるいは壺)・きせるをまとめてお置くもの。盆形以外の箱形のものも「たばこ盆」と呼んだ。 《桑葡萄に蝶破笠細工たばこ盆》の背面には小川破笠の名前を示す「観」の字の陶印がはめ込まれている。貝殻・石・陶片を蒔絵と併用し、器物に嵌装する手法のものは、本人作でなくても「破笠細工」と呼んだとのことだが、陶印まで真似たのだろうか。そうだとすれば「たくみのたくみな盗作」。 「たばこ入れ」は、きせる・火つけ道具・刻みたばこを携帯するためのもの。 ・一つ提げたばこ入れ↓: 袋+紐+緒締+根付 ・腰差したばこ入れ: 袋+紐+緒締+きせる筒 ・懐中たばこ入れ: 袋±きせる筒 ・袋の構造↓: かぶせ(表面に前金具、裏面に裏座または鞐)+かぶせ下(表面に「つく」または鞐掛) 彫金・金工、漆工、蒔絵、青貝細工など(チラシ↑参照、HPも良くできている。) 3.素材の妙 ・たばこ盆の素材: 在来樹木、輸入材(唐木)、使用済み版木など。 ・たばこ入れの素材: (1)皮革: 国産革、輸入革(印伝革、ハルシャ革、金唐革)、擬革紙 (2)染織: 錦織、装束裂、ビロード、更紗、刺繍 (3)その他: 貝、ミノムシの蓑 ・きせる筒の素材: (1)牙と角: 象牙、セイウチの牙、鹿角 (2)籐と竹: 編み方により、「網代組」や「花結組」と呼ばれた。 4.からくり 「たくみ」たちの妙技は装飾技法にとどまらず、「からくり」という精密な細工や仕掛けを作った。「からくりライター」や「たばこ入れ収納からくり箪笥」などが展示されている。 5.喫煙具が描かれた絵画 展示品リストには、下記のものが載っている。このリストは番号とタイトルだけなので不十分。作者や年代なども入れてもらいたかった。 ・「絵本雪月花」西川祐信 ・「煙草恋中立」二代鳥居清倍 ・浮世七小町 ・豊国豊広十二候 六月 ・張見世 ・「人倫訓蒙図彙」作者不詳 1690年 ・「今様職人尽歌合」 ・見立扇の的 ・紅毛人の図 ・西洋人物図 ・助六 河東節 ・《駒尽 駒菖蒲》 葛飾北斎 1822↓: 扇と、馬とたんぽぽの模様の菖蒲革で作った「一つ提げたばこ入れ」が置かれている。手前のケースはなんだろうか。 ・阿蘭陀人巡見之図 ・阿蘭陀人図↓: クレーパイプを持っている。 ・《賢勇婦女鏡 大井子》歌川国芳 1843-45: きせるのたばこに火打ち石で火を付けようとしている。 《木曽海道六十九次之内 軽井澤》↓の風呂敷包を背に、「たばこ入れ」を腰に差した旅人が、燃え盛る焚火の中に「きせる」を突っ込んで、たばこに火を付けようとしている。「いせ利」という版元の名を書いた提灯の明りの中で、馬上の旅人が、自分のきせるのたばこに、馬子のきせるから火を移してもらっている。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2012-11-28 15:28
| 国内アート
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