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![]() 私が初めて中島千波のシュール的な画に出会ったのは2006年10月に新宿高島屋で開かれた「中島千波の世界展」(HPの記事はこちら)で時だった。その時にはそれでも桜の画がいくつもあったが、今回は桜の画は一枚も出ていなかった。 宮田亮平学長も、その挨拶文の中で、この点に触れておられ、中島教授がこのテーマで退任記念展を開かれたことに驚いておられた。 地下の会場では入場無料の「尊厳の芸術展」(ブログ記事はこちら)、三階の会場でも入場無料のこの「中島千波退職記念展」、別館の田中記念館でも入場無料の「平櫛田中コレクション2012」とわたり歩いたが、それぞれの会場の雰囲気はまったく異なっていた。 「尊厳の芸術展」は入場者も多く、会場には不思議な熱気が漂っていて、作品の前に足を止めて、キャプションを読んでメモを取っている人も少なくなかったが、この「中島千波退職記念展」では、だだっ広い3つの部屋に、特大の象徴的日本画や中等大のマグリット的日本画が多数掛けられ、観客は相対的にも絶対的にも小さな存在となっていた。 ![]() これらの作品のタイトルと画の意味するところが一致しないため、観客としては折角の作品をエンジョイしにくいのであろうか、画の前で立ち止まる人は少ないようだった。 私は展示されている画の中に入り込もうと少し努力してみた。窓が描かれたマグリット的な画はなんとなく分かるような気がしてきた。しかし、大きな人物が平面的に描かれたデザイン調の日本画はなかなか難しかった。これはこういった現代的な日本画に慣れていない私の問題であって、画の良さを十分に理解できないためなのであろうとも考えてみた。 そこで、こういった画が美術館の展示室ではなく、大きなビルの無味乾燥な白壁に掛かっているところを想像してみた。そうするとこのような意味不明の心象画のほうが落ち着きが良く、分かりやすい具象画ではかえって落ち着きが悪いような気がしてきた。 中島教授は「デザイン科」の担当であって、「絵画科」の教授ではない。デザイン科教授が、自分の退任展の出展作を「デザイン性の強い作品」に限定することは教育者としては当然のことだったのであろう。こんな単純なことに気づくまでに時間がかかったのは、宮田学長も述べられておられるように、我々にとっては中島画伯の「桜の画」の刷りこみが強いからなのであった。 東京藝術大学の退職年齢はめずらしく67歳と高齢である。その理由は寡聞にして知らないが、画家に長寿者が多いことに関係があるのかもしれない。 中島千波画伯は受付に坐って、山羊ヒゲ顔をにこにことほころばせておられた。一般に国立大学教授は退職後には、その活動が低下するものであるが、芸大の場合には画業はそのまま続けられるので、本当にHappy Retirement である。 ロビーに出てみると、快晴の空にスカイツリーが浮かび、その向こうを飛行機が一機通り過ぎて行った。中島教授にとっての退職記念展は、この飛行機にとってのスカイツリーと同じく、単なる通過点に過ぎないのであろう。 ![]() ![]() ![]() 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2012-11-19 23:10
| 国内アート
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