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太平洋戦争の開戦直後、アメリカ西海岸やハワイの一部に住んでいた日系アメリカ人12万人が、砂漠などに作られた強制収容所に3年以上も隔離された。
このことについては、本ブログでは、この収容所内で美術学校を開いた画家・小圃千浦の記事を上げている。そして、この画家の伝記「サムライとカリフォルニア」を取り寄せて、読んだばかりだった。 今朝のNHK「日曜美術館」で、現在この展覧会が開かれていることが紹介され、脚本家・倉本聡氏の素晴らしいコメントを聞いたので、すぐにこの展覧会を見に行った。幸い、暖かい小春日和の一日だった。 展覧会の出口で、アンケートを頼まれたので、「収容された日系一世の人たちが乏しい材料で見事な作品を作りあげられたことや、日系二世がそれ以上の人種差別を受けることを恐れてこれらの作品を世に出さなかったこと、しかし日系三世の人たちが勇気をだして2006年に開いた《The Art of Gaman展》にこれらの作品を展示したこと、これが米国内で大評判となり、全国ツアーそして最後にスミソニアン博物館にまで到達し、今回は東京・福島・仙台・沖縄・広島という地を選んで展覧会が開催されるまでになったこの70年の歴史の重さを感じた」と答えておいた。 このアンケートには、「この展覧会を見て、NHKが聴取料を取っていることの意味がお分かりになりましたか?」というバカげた質問があったことや、今回の展示作品の意義を「わが国には世界に誇れる優れた技術があることを現代に伝えてくれている」といったピント外れの説明がガイドブックにあったことには、呆れてしまったが、アンケートには書かなかった。 最初に出てきたのは沢山の杖。収容所で歯科医として皆の役にたっていた西長徳先生に贈られたものである。先生は、自分の息子が志願して二世のアメリカ兵となり、戦死したことがきっかけで鬱状態となり、人前に出てこられなかった。その時に西先生を励ますために、友人や患者が創った杖たちが展示されていたのである。 期待していた小圃千浦 Chiura Obataの素描が5点出ていた。フラッシュなしの写真撮影はOKだったので、全部を撮った。当時カメラによる撮影は収容者には許されていなかったので、これらは当時の「生活の記録」であり、貴重な証言でもある。写真の内容はタイトルで十分に説明されている。 ・小圃千浦《バークレーからの出発》 ↓ ・作者不詳の《テーブル》は、椰子の葉をささやかな飾りとしており、ヘイキチ・エザキ Heikichi Ezakiの《鉛筆立て》は拾ってきた色つき石をはめこんで飾りとしたものだった。木材の切れはしで制作したミッツ・カイダ Mits kaidaの《椅子》は、坐りやすいように背もたれに角度がつけられており、収容所から出たあとも、本人のリビングルームに置かれていたという。モヨ・フルオカ Moyo Huruokaの《紙製の籠》は、生花用だが、肝心の花も紙製だったとのことである。ショウヤ・サカザキ Shoya Sakazakiの《そろばん》は五つ玉。屑木材で作ったというが、自分が課外授業を受けるためにこれほどの精力を使って制作した根性には頭が下がる。 ・作者不詳の《煙草入れ》↓は玉葱を入れる袋で作った紐を顔料で染めて編み上げた逸品。 「生活を彩るものたち」のセクションも見ごたえがあった。 ・《鳥や動物のピンブローチ》↓が沢山出ていたが、これらはすべて屑木材に絵具を塗ったもの。作者は、サダオ・オカ Sadao Oka、ヒメコ・フクハラ Himeko Fukuhara、カズコ・マツモト Kazuko Matsumotoの他は氏名不詳の男性・女性。脚が一番難しかったそうだが、これには金網の金属を使ったとのこと。撮った写真では、一個一個が輝いて見える。 サチコ・カワサキ Sachiko Kawasakiとタニ・フルハタ Tani Furuhataの《日本人形》の美しさは超一流。自分の古い着物を切って作る時の彼女たちの悲しさが沁みてくる。作者に対する筆者の敬意のしるしとして、写真↓に二人のイニシャルを入れておいた。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2012-11-18 23:27
| 現代アート(国外)
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