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英国水彩画はいろいろな展覧会で何点かずつ見ているが、今回はそれに特化した展覧会。中年以降の女性たちが一点一点食いつくように見ておられるので、それほど混んでいるわけではないが、あまり進まない。恐らく自分でも水彩画を描いておられるのだろう。
第1章 ピクチャレスクな世界以下、これに沿って「お気に入り」を上げていくが、今回のメインの「第4章 ターナー」は、すべてがお気に入りと云ってもよいほどなので、選別に苦労しそうである。 第1章の「ピクチャレスク」とは、「絵にするのに適した風景」。イギリス国内にもそういった景色が多かったのであるが、こういった風景画は17世紀オランダから18世紀になって英国に入ってきた。オランダでは油彩画が多かったが、英国ではなぜか水彩画が数多く描かれた。以下、この章の「お気に入り」を列記する。 ・ターナー《コンウェイ城》:湖水への投影や細密な人物や鳥の描写が印象的。 ・トマス・ガーティン《ピーターバラ大聖堂の西正面》:細部にわたる精緻さが目に付く。 ・コンスタブル《デダム教会と渓谷、サフォーク》:縦長の栃木県立美術館の《デダムの谷》とは印象が異なる横長の画だが、いずれも画家の故郷を描いたもの。 第2章のイタリア風景画は、18世紀になって、イタリアへの道が開けたこと、画材の持ち運びが容易になったことと、オボッチャンたちのイタリア旅行のお土産として求められたことに関係している。この章の「お気に入り」は↓。 ・アレクサンダー・カズンズ《山の峡谷》:近寄って見ると、インクの「染み」を利用した技巧的作品であることが分かる。 ・サミュエル・プラウト《ヴェネツィアの運河のカプリッチョ》:架空の風景画。この景色はヴェネツィアの少なくとも二つの情景を合成しているようだ。 ・ジョン・ロバート・カズンズ《ネミ湖越しにジェンザーノを望む》:近景の森、中景の湖、遠景の空の対照が印象的。 ・サミュエル・プラウト《サン=カンタンの市庁舎、フランス》:ラスキンの下絵によるもので、完成した水彩画はラスキンの父親が購入。 ・ウィリアム・ホルマン・ハント《コルフ島》:この画家の水彩は上手い。 ・ウィリアム・ホルマン・ハント《シオンの丘からレファイム平野を望む》:グワッシュを使っているので強い印象を与える。 ・ウィリアム・ホルマン・ハント《岩のドーム、エルサレム、ラマダンの期間》:これもグワッシュ。闇夜のエルサレム。全体に暗いが、岩や礼拝者が月光に照らされ、明るい灯が目立つコントラストの強い画である。 ・ウィリアム・ホルマン・ハント《ナザレの景観》:これもグワッシュ。 ・レジナルド・バラット《日没時のスフィンクス、エジプト》:これはお土産として最適。ショップでもこの絵葉書が売られていた。この画は観光土産だったのだろう。 第4章のターナーは、上述のように「お気に入り」で一杯。以下は、その中から厳選した「お気に入り中のお気に入り」。 ・ターナー《旧ウェルシュ橋、シャロップシャー州シュルーズベリー》:古い橋の中に新しい橋が見える。浮世絵風の構成である。桶の中に富士山の見える北斎の画の構図を想いだした。 ・ターナー《スウェイル川から望む聖アガサ修道院、ヨークシャー州イーズビー》:水面に映る城。ぼやけた感じが良い。 ・ターナー《アップナー城、ケント》:水面の光。手前に銃が描いてあるのは、当時この城が火薬庫として使われていたためとのこと。 ・ターナー《テムズ河畔フェニングズ埠頭の火事、バーモンジー》:煙の向こうに焼けている建物が透けて見える。こういうところがターナーの真骨頂。思わず絵葉書購入。 第5章は幻想絵画。ここの「お気に入り」は多数。 ・ブレイク《日の老いたるもの》:ブレイクは詩人でもあり、画家でもあったが、その詩「ヨーロッパ ひとつの予言」の彩色口絵用銅版画に、邪悪な神格ユリゼンを描いている。神格ユリゼンとは想像力の抑圧者で暴君。筋肉隆々としたユリゼンは長い髪をなびかせ、紅に輝く球体から身を乗り出している。指先から閃光が・・・。 ・サミュエル・パーマー《カリュプソの島。オッデュッセウスの船出》:手を振って別れを惜しむ二人。これに似た岩が描かれているのは作為的な気がする。 ・ミレイ《ブラック・ブランズウィッカー》:「ブランズウィッカー」とは義勇軍のこと。 ・ロセッティ《窓辺の淑女》:このモデルの女性は見慣れた顔。 ・バーン=ジョーンズ《坐る女性奏者、「哀歌」のための習作》:ダルマシーという楽器。唯美主義。 ・マドックス・ブラウン《ロメオとジュリエット》:ロメオが懸命に登ってきた時に使った綱に着目。 ・ジョン・ラスキン《メール・ド・グラース、シャモニー、フランス》:氷の海の白いクレバス。ラスキン自身の画がとても上手いことにあらためて感心。 第7章のヴィクトリア朝時代には、ラスキンが、自然の中で間近に対象を描くことを勧め、グワッシュの使用が流行した。 ・スタンフィールド《帆柱を切り離す-マリアットの小説「海賊」の挿絵》:グワッシュ。 ・アルフレッド・ウィリアム・ハント《タインマウス埠頭、北東の風》:ハントという姓のヴィクトリア朝画家が3人いることはここに書いているが、アルフレッド・ハントは「水しぶき」が得意。会場でも、この画の「波しぶき」にしびれ、しばし動けなかった。 ・スマイス《春季》 ・スマイス《ブーローニューのエビを捕る人々》 ・ワッツ《前景に羊のいる木立の風景、ベドゥス=ア=コイド、ウェールス》 ・フレデリック・ウォーカー《井戸掘り人夫》 最後の第8章は、その他大勢。ローヤル・アカデミーも19世紀初めには、風景画を認めた。 ・ゲインズバラ《ブナの木、ヘレフォードシャー州フォクスリー、彼方にヤゾー教会を望む》:結構上手い。肖像画には飽きていたらしい。 ・ジョン・クローム《路傍》 ・デイヴィッド・コックス《木の習作》 ・アンドリュー・ニコル《北アイルランドの海岸に咲くヒナゲシとダンルース城》:近景の花は鮮やかで美しいが、遠景の城とはちょっとミスマッチで落ち着かない気がした。 ・ターナー《サン・ゴダール峠の嵐》:展覧会の掉尾を飾る見事な画。 ・ターナー《濡れた浜辺に沈む夕陽》:亡霊のようにぼやけた人物。赤く染まった雲。 展示リストに〇を付けてきた作品のタイトルは、すべて↑に書きこんでみたが、沢山ありすぎて細部を思い出せぬ画もある。ご容赦をお願いしたい。 あれほど多数になると、図録も重くなっていて、持ち帰る気になれなかった。しかし、会場では、十分に楽しんできた。 【英国水彩画を見た展覧会】 ・都市のフランス 自然のイギリス @千葉市美術館 ・ターナーから印象派へ @府中市美術館 ・ラファエル前派からウィリアム・モリスへ @横須賀美術館 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2012-10-24 23:43
| 国外アート
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