出雲ー聖地の至宝 ＠東京国立博物館 本館

　これは、「古事記1300年、出雲大社大遷宮特別展」で、東博本館の特別5室・4室の2室を使って展示している。

　特別5室には、2000年に発掘された巨大な宇豆柱↓が3本まとめて展示されている。　宇豆柱とは、大社造本殿の9本の柱のうちの中央にあたるものであり、直径110－135cmの杉の大材3本を束ねて一つの柱としていたのである。

　これは、「金輪御造営差図」↓の表現とそっくりであったので、一躍注目されるようになったのである。　このように太い柱が支えていた当時の本殿の高さは48mと伝承されているが、今回の展覧会には、その10分の1模型↓が出されていた。　特別4室には、30年前に、荒神谷遺跡から、銅剣358本、銅鐸6個、銅矛16本が発見され（↓右）、さらにその12年後に隣町の加茂岩倉遺跡から銅鐸39個（↓左）が発見され、すべてが国宝となっている。

　今回展示されているのは、荒神谷の銅剣42本（＋模鋳品14本）、銅矛16本（＋模鋳品6本）、銅鐸5個（＋模造品4個）と加茂岩倉の銅鐸16個（＋模鋳品2個）で、迫力十分である。　特別5室では、ビデオを視聴した。加茂岩倉の39個の銅鐸の中17個は、他の地方から来た「同範銅鐸」ということで、弥生時代に地域間交流があったことの証左であるとのことだった。また銅剣と銅矛に、同じX印が付いたものがあるとの興味深い話も聞いた。

　このように神話の国「出雲」の全貌が、少しずつではあるが、考古学的に明らかにされつつある現況を把握させていただいた。

　面白かった。

美術散歩　管理人　とら