江戸の判じ絵 ＠たばこと塩の博物館

「判じ絵」は、もともとは平安末期に始まったことば遊びということだが、江戸時代には、問題の答えとなる言葉を分解して、異なる意味の単語を作りだす形式の判じ絵が流行した。例えば、「雑巾」⇔「ぞう」＋「きん」⇔「象の上半身」＋［金太郎の上半身］というがごとしである。

「判じ絵の読み方」は、こちらに絵入りで詳述されているが、その要点は↓。

1．洒落：　音と訓の読みの違いや同音異義語の活用。

2．文字抜き：　絵の一部を省略して、その部分の音を消す。

3．逆さ読み：　逆さまの絵では、その絵の音は逆さ読み。

4．濁点と半濁点：　濁点「゛」・半濁点「゜」付きの絵では、その部分は濁音・半濁音で。

5．決まった読み方：　例えば、「天狗」＝まもの⇒ま、「田圃」＝たんぼ⇒た。

　さて会場に入ると、沢山の判じ絵が所狭しとばかりに置かれている。最初の中は、一点一点フォローしていたが、だんだん疲れてくるので、どうしても一部の色彩豊かな絵以外は流してしまうことになる。

　チラシ表面に載っている5点については、探し出して答をメモってきたので、以下にアップする。

A.　いろは： ぬる（塗）、を（苧）、わ（輪）、おく（奥）、まけ（負）、ふ（歩）、ゆ（湯）、ゑ（絵）、せ（背）。B.鳥： ツル、ツバクロ、メジロ、クイナ、ハト、オナガ、タカ、ニワトリ、ホウオウ、ガン、ヒワC.名所： 下谷（舌・矢）、駒形（独楽・肩）、赤羽（赤・羽根）、千住（千・十）、深川（歩・蚊・蚊゛・輪）、洲崎（巣・裂）、江戸橋（絵・飛ばし）、白金（城・金）。D.虫： カマキリ、マツムシ、ミミズ、トカゲ、カイコ、コウモリ、ウマオイ、コオロギ、キリギリス、ハチ
E.道具： 茶釜、火吹き竹、小桶、味噌こし、鍋、炮烙、皿、ザル、雑巾　チラシの絵には文字が乗せてあるので読みにくいが、↑の「E.道具」の絵は、実際には↓のようである。Eには含まれていないものもあるので、解いてみることにする。もう忘れていなければ良いのだが・・・。　なんとか思い出しました↓。　右上から左下に向かって、米櫃＝子＋目＋火＋鶴（上半身）、たわし＝田＋鷲、お鉢＝　尾＋蜂、すりこ木＝摺＋子＋木、目籠＝目＋籠＝目の粗い籠、茶釜＝茶＋蝦蟇、火吹き竹＝被風＋着＋竹、小桶＝香＋毛、味噌こし＝神【そ】輿、焙烙＝頬＋六、菜箸＝賽銭箱（上半）＋葉（濁点）・（四枚）、すり鉢＝擦＋撥、火箸＝陽＋橋、炭取＝墨＋鳥、鍋＝菜＋屁、皿＝桜（中抜き）、ザル＝猿（濁点）、せっかい＝雪駄（上半）＋櫂）＝すり鉢の掃除道具、雑巾＝象＋金太郎（上半身）、岡持＝顔（逆さま）＋持、灰ふるい＝這＋古井戸。

　2Fのミニ企画コーナーは「文化文政期の謎染」。判じ絵と共通する遊び心の発露である。出ていたのは、↓の「かまわぬ」の他に、「よきこときく」、「芝翫縞」、「菊五郎格子」、「市村格子」。　ここの展覧会は、一つひねったものが多い。図録1500円は、内容の割に安いと思ったが、「オジンギャグ」の最たるものである「判じ絵」のとりこになりそうなので、我慢した。

美術散歩　管理人　とら