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![]() 着いてみると、開催記念講演会「アントワープ王立コレクションとアンソール」があり、アントワープ王立美術館長ポール・ユベンヌ氏が講師だという。本来は事前申込者のみなのだが、空いていたので入れてもらった。 ![]() もう一つ気になったのは会場の音響効果が悪く、ベルギー訛りの英語はもとより、通訳者や質問者の日本語も聴き取りにくいことである。 ということで、大変メモを取りにくかったが、概要は次のようである。 美術品の収集の歴史は古く、欧州では5世紀ごろに始まる。収集物はギリシャの壺などの貢物であった。ルネサンス期以降には、科学と芸術が近づき、百科全書的な収集が行われ、収集マニアは自分のスチュディオーロを収集品で満たした。宮廷には展示室が設けられた。フランス革命で旧体制は変革されたが、革命家の中にも芸術愛好家がおり、美術館が造られた。 アントワープ芸術アカデミーの中に保存されていた美術品は、ナポレオンによって、すべてルーブルに持ち去られた。ナポレオン失脚の後、これらの一部はウィーンなど中欧に移されたが、ルーベンスの《キリスト昇架》および《キリスト降架》や《聖フランシスコ》などはアントワープに戻ってきた。そして、アントワープ芸術アカデミーの中に、ルーベンス、ヨルダーンスなどのバロック作品を所蔵する美術館が作られた。 1873年に近火があったので、新しい美術館が造られ、14世紀-20世紀のコレクションが形成されていった。ただし、現代美術は別な「アントワープ現代美術館」に置かれている。 アントワープ王立美術館では、アンソールはルーベンスと並ぶ重要なコレクションとなっており、油彩画・素描・書簡・覚書を多数所蔵している。今回の展覧会には、そのうちの約50点を出展している。アンソールは、オステンド生れで、一時国立アカデミーで勉強したが、これになじめず、オステンドに戻って制作を続けた。カーニバル、仮面、偽善、シュールの先駆けなど独自の面が強調されているが、伝統的絵画や印象派の影響もある。移りゆく時間や光の効果に着目した「光と情熱の画家」であるともいえる。アカデミーに拒絶された作品などにも注目してほしい。 アントワープ王立美術館の建物の歴史は長いが、今回、2期に分けて新しい建物を造ることとなった。ビデオで示すような建物が完成するのは2017年である。この機会をとらえて、その所蔵品を海外の美術愛好家にも見てもらうこととした次第である。 本日学んだ教訓: ①「美術館館長=一流の講演者」いう方程式は必ずしも成り立たない。②無料の講演会には「時間のロス」という大きなリスクを伴う。 さて展覧会は、第1章「写実と反アカデミズム」と第2章「グロテスク絵画に向けて」に大別されているが、各章がさらに多くのセクションに細分されている。 まずは第1章「写実と反アカデミズム」から。 1-1: アンソールの美術アカデミーにおける古典的描写の習得 最初に登場したのは、ルーベンスの《ミネルヴァ》↓。これはイングランド王ジェームス1世のためのロンドン迎賓館天井画の習作。習作だからこそ、工房作ではなく本人作である。ミネルヴァに突き刺されそうになっているのは女の怪物。 ![]() ここには、アンソールが1877-80年に制作した素描やコンテが4点出ていたが、特記すべきものではない。 1-2: 外光主義 「アトリエから屋外へ」という流れは、オランダ風景画→写実主義→外光主義(プレネリスム)→印象主義→光輝主義(ルミニスム)と細分されるという。 出展されていたのは、写実主義のクールベ《オルナンの庭》、アルタン・サン=マルタンの《朝》、ベルギー印象派ヴォーゲルスの《浜》、クールベの模倣者パンタジスの《崖》と《浜辺にて》。 アンソールの油彩作品としては、《海浜の着替小屋》↓、《灰色の海の風景》、絵具の質感が感じられる海景画《白い雲》↓↓、《帆船》、《フランドル通りの音楽》↓↓↓(再見)、《オステンドの風景》の6点。 ![]() ![]() ![]() 1-3: アンソールとブリュッセルの仲間たちによる静物画と肖像画 アンソールの油彩作品は《牡蠣》、明暗のコントラストの強い《エイ》↓、東洋の品々が描きこまれた《シノワズリー》↓↓、明るい《花と野菜》↓↓↓、《青いショールの老婦人》、《上向きの鼻の女性》。 ![]() ![]() ![]() 1-4: 画家は近代の真の英雄である ここには画家の肖像が集められていた。ファンタン=ラトゥール《自画像のための習作》はレンブラント的。アンソールの作品としては、《イーゼルに向かうウィリー・フィンチの肖像》、《テオ・アノンの肖像》、ホイッスラー的な《イーゼルに向かう自画像》↓。 ![]() 1-5: 近代生活のイメージ いわば近代の風俗画。アンソールの油彩画としては、《オステンドの昼食後》↓、《待ち合わせ》、《防波堤の女性》》(再見)、品のないテーマの画としてアカデミーから出展拒否された《牡蠣を食べる女》↓↓、《赤いパラソルを持つ女》↓↓↓、《扇子を持つ婦人》↓↓↓↓、《ブルジョワのサロン》↓↓↓↓↓。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ここには、シベレヒツ《臭い牡牛》、マース《漁師の少年》、ヴァン・ダイク《老ユダヤ人》、パンタジス《男の頭部》、トーロップ《美味い一杯》、フレデリック《ふたりのワロン地方の農家の子ども》↓、アンソール《漕ぎ手》など、この美術館の優品が出ていた。 ![]() この章で見てきたようなマトモな写実画を描いていたアンソールが、仮面画や骸骨画を描くに至ったのはなぜなのだろうか。それが第2章のテーマである。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2012-09-09 12:58
| 国外アート
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