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9月に入り、急に涼しくなったので、局地豪雨を避けながら、京橋→ブリヂストン「ドビュッシー展」→日本橋→高島屋「バーナード・リーチ展」・「民芸展」に行ってきた。
![]() 美術における印象派と象徴派の区別ははっきりしている。 音楽の世界でも、ドビュッシーは印象派と呼ばれていたのではないかと思っていたのだが、会場では「近年は、ドビュッシーは象徴派となった」との説明である。 絵画における印象派という名前自体が、光の印象を重んじる革新的美術を貶めるために美術評論家が使ったものであることを考えれば、ドビュッシーの革新的な音楽を否定するために音楽評論家が使った印象派という名称よりも、人間の心の内面に向かうドビュッシーの音楽の特性をふまえた象徴派という名前が適切だということなのである。 ![]() 私の好きなバッハ、モーツアルト、ショパン、ドボルザークとはまったく違うドビュッシーの音楽に慣れるには数日間を要した。 展覧会の感想は、以下、章別に述べる。 Ⅰ.ドビュッシー、音楽と美術 ・《クロード・ドビュッシーの肖像》: 油彩や写真。↓はその1枚。結構な良い男。女性問題があった理由は明らかである。 ![]() ![]() ドビュッシー初期の代表作「選ばれし乙女」は、イギリスの画家ロセッティの詩「選ばれし乙女」に共感して作曲された。当時の画家たちの描く女性像は、ドビュッシーにも影響を与えている。 ロセッティと同じラファエル前派バーンジョーンズ《王女サブラ》↓はとても良かった。最近、三菱一号館美術展でみた「バーンジョーンズ展」で、この物語は熟知している。 ![]() ![]() ![]() 美術愛好家の画家アンリ・ルロール、作曲家エルンスト・ショーソン、高級官僚アルチュール・フォンテーヌは、ドビュッシーの若き時代よりのサポーター。 1)ドビュッシーは、彼らのコレクションにあったドガ、ルノワール、モネ、ヴュイヤール、カミーユ・クローデル、モーリス・ドニ、ボナール、ルドンら印象派やポスト印象派、象徴派の美術家たちの作品から得たインスピレーションを自分の創造活動に反映させた。私が聴いてきた「映像」も、その一つだったのである。 ドニの《結婚行進曲》と《ファランドール》は初見。 ルノワールの《ピアノに向かうイヴォンヌとクリスティーヌ・ラロール》は、今回の展覧会のメインビジュアル。彼女たちは画家ルロールの娘。白いドレスがイヴォンヌ、傍にいるのがクリスティーヌ。壁に掛った2点のドガもルロールの所蔵品。 ![]() 3)ブリヂストン美術館に比較的最近入ったカイユボットの《ピアノを弾く男》↓が弾いている音楽の作曲はアントワーヌ=フランソワ・マルモンテル。彼はドビュッシーを教えていたパリ音楽院教授。アントワーヌ=フランソワ・マルモンテルについての記事はここ。 ![]() ここに出ていたドニの大作《木の葉に埋もれたはしご》や《黄金の船》は初見。 アレクサンドル・シャルパンティエの銅製の《歌》、《ヴァイオリン(音楽)》は見事。 当時流行していたエミール・ガレなどのアールヌーヴォー作品がいくつか展示されていたが、これらとドビュッシーの直接の関係は分からなかったが、彼の所蔵品の中にこういったものがあったのだろう。 ポール・ランソンのタピスリー《春》は見ごたえがあった。 カミーユ・クローデルの彫刻《ワルツ》1905年↓はドビュッシーが生涯持っていた作品だとのこと。ロダンと別れた後のカミーユはドビュッシーと非常に親しかった。その意味で、この展覧会には欠かせないと思われるカミーユの《波》1902年頃制作、1905年展示が出ていなかったので、↓↓にアップしておく。 ![]() ![]() クロード・ドビュッシー記念館から南洲の《金の魚》という蒔絵作品が額装で出ていた。ドビュッシーの「映像」第2集第3曲のタイトルが《金の魚》だとのこと。 1905年に上梓された交響詩「海」のスコアの表紙には、葛飾北斎の《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》に倣ったイメージが使用されている。 ![]() ルロールの娘イヴォンヌに贈った《日本の扇子》の表面には「ペレアスとメリザンド」の楽譜、裏面にはドビュッシーの文が書きこまれていた。 ホイッスラーの《紫と緑のヴァリエーション》は、とても美しい。 ![]() ドビュッシーの「牧神の午後のための序曲」の楽譜、このための舞台装飾の下絵や写真が沢山出ていた。バレエ愛好者には興味があるだろう。 ![]() Ⅵ.ペレアスとメリザンド 「ペレアスとメリザンド」はドビュッシーが残した唯一の歌劇で、ベルギーの象徴派詩人モーリス・メーテルリンクの戯曲に基づいている。 この章でのお気に入りは、クロスの《髪》↓とドニの《イヴォンヌ・ルロールの3つの肖像》↓↓。後者は、画家ルロールの娘イヴォンヌが異なる衣装で同一画面に3回描かれているという不思議な画。 ![]() ![]() Ⅵ.聖セバスチャンの殉教、遊戯 1911年に音楽劇「聖セバスチャンの殉教」を、1912-13年にバレエ音楽「遊戯」を作曲。舞台背景や衣装などをレオン・バクストが手がけた。 この章で記憶に残っているのはレオン・バクストの《遊戯のためのデザイン》のみ。 ![]() マネ《マラルメの肖像》↓やカリエール《ヴェルレーヌの肖像》などは見慣れた作品。このようにドビュッシーの友人の肖像画を並べられても、見る方は疲れるだけと云ったら云いすぎだろうか。 ![]() この章はダントツに良かった。マネの《浜辺にて》↓で男が聞いている波の寄せる音、ホーマーの《夏の夜》↓の背景の海音、モネの《嵐、べリール》↓↓↓の音などのオルセー所蔵作品から、初めて音が聞こえてくるような気がした。 ![]() ![]() ![]() ガレの大きな壺《海》の模様、ゴーガンの《牛のいる海景》、カリエールの《クリシュー広場、夜》のボケボケの夜景、アレクサンダー・ハリソンの太陽の描かれた《海景》、セリジェの《護符》↓の象徴的色彩描写、ベルナールの明るい《イボールの断崖》の海・岸壁・女性・馬のハーモニー、ラコンブの不思議な《紫色の波》↓↓、シャルル・ラコストの象徴的な《影の手》の画面からも、それぞれの音が聴こえてきた。 ![]() ![]() Ⅹ.新しい世界 シニャック、マティス、ヴラマンク、モンドリアン、クレー、カンディンスキー↓などのブリヂストン所蔵作品が並んでいた。 ![]() 展覧会自体は、間口を広げ過ぎていたが、その中で、視覚と聴覚の連絡という個人的体験をできたのは予期せぬ収穫だった。 美術散歩 管理人 とら 【追記】 「バーナード・リーチ展・民芸展 @高島屋」の記事はこちら。
by cardiacsurgery
| 2012-09-02 15:18
| 国外アート
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