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図録で、死者の書における心臓の物語を勉強したので、忘れないうちにメモにしておくこととする。
死者にとって最も重要な臓器と考えられていた「心臓」を守る呪文は、「死者の書」に古くから取り込まれていた。 冥界の支配者オシリス神の前で行われる《審判》に於いて、マアト女神の羽根あるいは小像と死者の心臓の重さがつりあわなければ、心臓は怪物に喰われてしまい、死者は再生できなくなってしまうからである。 《審判》の場面は、新王国時代の「死者の書」においても、すでに詳細に描かれている↓。 左の皿には死者の心臓が、右の皿には真理・正義・法の女神マアトの羽根が置かれている。死者のバーも立ち会っている。 天秤の左には宿命の神シャイが描かれ、その後ろに2人の出産・育児に関わる女神レネネトトとメセケネトが重なって描かれている。 右側には、トキの頭を持つ人間の形のトト神が、パレットを持って審判の結果を記録している。 その後ろには、つりあわなかった心臓を食べようと待っている怪物アメミトの姿。 この場面の上に書かれている言葉は、審判の際に、心臓が不利な証言を行うのを防ぐ呪文(第30章)であるとのことである。 第3中間期に作られた「グリーンフィールド・パピルス」には、審判の場面は2度出てくる。第1は、前報にも載せたが、第64葉に描かれている。 この図の左上には、ヒヒが守る炎の池が描かれ、第2の死を余儀なくされたものの運命を暗示している。 《審判》の場面は、第3中間期の「人形棺」にも描かれている↓。 右上図では、死者が心臓を手に持って、3人の神に礼拝している。これらは「心臓をつかみとるもの」なのだろう。 左下図では、死者は自分の心臓の前に立っている。心臓は、写実的なハート形と小さな壺型の伝統的なヒエログリフの両者で表現されている。 右下図では、死者が心臓をかたどった「スカラベ」を拝んでおり、文章に書かれた呪文では、「審判の場で心臓がその所有者を裏切らないこと」を保証させている。 「死者の書」の第30章では、死者は自分の心臓に向かって語りかけ、審判の際に均衡をはかる番人の前で、自分に関する望ましくない情報を洩らして自分を裏切ることがないように促している。この呪文は、新王国時代の《心臓スカラベ》の裏面にも刻まれている↓。 おお、母なる私の心臓。母なる私の心臓。さまざまな姿の私に属する心臓よ。私を訴える証人にならないように。審判に於いて私に反対しないように。「天秤の守り人」の前で私に厳しくしないように。なぜなら、おまえはわたしに宿っていた「カー」なのだから。私に活力を与える守護者なのだから。共に急ぎ目指す幸福な場所へと私を誘っておくれ。裁判人の前で私の名前を汚さないように。神の前で嘘をつかないように。どうか耳を傾けておくれ。↓は末期王朝時代の《心臓形護符》。朱色の「心臓色」であり、心房と心室の間の溝や左右の心室の仕切りがはっきりと刻まれた写実的な心臓。左右の心耳まで付けられているような気もする。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2012-07-14 21:42
| 国外アート
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