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今回は「渋谷区制施行80周年記念」の展覧会。画伯の現在のお住まいが渋谷区という関係なのだろう。この展覧会は、名古屋市美術館、富山県水墨美術館、福島県美術館を巡回しているが、それぞれに画伯の思い入れのある土地を選んで開かれているような気がする。
その展覧会で特に印象に残ったのは、《水》、《ヨルバの少女》、《青木が原》、《清水寺》、《明日香栢森》、《大地》、《出航》、永平寺の襖絵24面、鶴岡八幡宮の斎宮の襖絵6面。 2回目は、2009年1月にお隣の高島屋で開かれていた「智積院講堂襖絵完成記念」の展覧会であるが(記事はこちら)、上記の三越展もまだ開かれていて両者をかけもちで見た。また、そのころ「日本画家 田渕俊夫 襖絵に時を刻む」という映像が、NHKの新日曜美術館で放映されていた。 それから数年が経過した。それ以降の画伯の作品が見られると期待して、梅雨入り前の快晴をエンジョイしつつ会場に向かった。 会場では、Ⅰ.田渕様式の萌芽 1966-1969、Ⅱ.開花・充実期 1970-1984、Ⅲ.発展・拡張期 1985-2000、Ⅳ.水墨画・障壁画への傾倒 2000-というように、ほぼ年代順に展示されていた。 わたしが期待していた近作の一つは、B1Fの第1会場の中央に置かれていた。《鶴岡八幡宮絵巻》である。(会場で買ってきた絵葉書を画像として使うことをお許しいただきたい) この絵巻物で開かれていたのは、鶴岡八幡宮の戦における焼打の場面であった。炎に包まれる大鳥居と手前の道路や建物との対比が印象的であるが、全体としてはやまと絵のような品格を有している。 2Fの第2会場の半分以上は、長さ10mの大作《惶Ⅰ》と《惶Ⅱ》で占められていた。これは昨年2011年3月11日の東日本大震災の惨状に触発されて描かれた作品である。(絵葉書の画像↓参照) 「惶」という難しい漢字は「おそれ」の意味。画家の意図は、展示の順序からは「平穏⇒天災」、すなわち「自然に対する畏敬」のようにも感じられるが、タイトル番号が「《惶Ⅰ》⇒《惶Ⅱ》」であることを考えると、「天災⇒平穏」、すなわち「鎮魂と再生への希い」と捉えるのが正しいのではなかろうか。よく見ると、《惶Ⅱ》の右方には、一本の若樹が描かれている。これを再生の証しとして受け取っておきたいと思う。 その他のお気に入り作品は以下のように多数。 ・赤が印象的な1968年の《ヨルバの花》(チラシ裏↑の中段の図) ・1970年の緑が美しい《灼熱の夏》・《秋詩》 ・1983年の移りゆく色彩の《流転》(チラシ裏↑の上段の左図) ・1985年の装飾的な《叢叢賛歌》 ・20世紀の名古屋の中心地をカッチリとした絵の中に留めた1989年の《刻》 ・印象派的ともいえる1993年の《木の間》 ・繊細な線と灰色を中心とした淡彩で稲取港がしっとりと描かれている(チラシ表↑の図) ・2000年にホーチミンのバイクを動画的に描いた再見の《時の証人》 ・カッチリと描かれた2002年の《旅の窓から 刻》 ・礬砂を使わずに墨のにじみを意図的に残し、墨だけでありながらピンクの色彩が感じられる2003年の《爛漫》 ・ハルビンの孔子廟をキッチリと描いた2004年の《時の移ろい》 ・飛行機から小さく見える舟を金地の中に留めた2004年の《大地悠久》 ・夢に現れた空港の傍の青い海と白い光点を2005年に描いた中部国際空港所蔵の《旅立ちの朝》 会場の広さに制限があるためか、展示数は多くないが、それだけ各作品が発するエネルギーが直接に伝わってくる。お勧めの展覧会である。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2012-06-09 12:11
| 国内アート
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