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これは2012年6月2日(土)に NHK-BSプレミアムでみた番組のメモ。6月24日(日) 午後4時からNHK-総合で再放送がある。
最近イギリス特集番組が多い。最初、これはエリザベス女王即位60周年記念のためなのだろうとナイーヴに考えていた。 ところがネットで調べると、今回の放送は、7月7日から森アーツセンターギャラリー、次いで九州で開催される「大英博物館 古代エジプト展」の関連番組らしいということが分かってきた。公共放送といいながら、開催者としてPRしているのは如何かという気もするが、良い番組であれば文句をいうこともなかろう。 ![]() それでも今回のメモはこのブログにアップしておくことにする。しばらくすると、この放送番組のアーカイブには繋がらなくなってしまうのだろうから、メモを残しておく意味はあると考えるからである。 私が大英博物館を訪れたのは1975年のこと。覚えているのは、最初にアッシリアの大きな彫刻を見て、エジプトのミイラを見て、うろうろしているうちに日本の郵便切手が並んでいる場所に来てしまった。これはマズイと体勢を立て直し、ガリレオやニュートンの文章、ロゼッタストーンを見て、やれやれと出てきたことなどである(記事はこちらの後半)。 その時に買ってきた英語のガイドブックだけはしっかりと残っている。 ![]() ということで、「2時間で回る大英博物館」というタイトルの番組は、われわれ夫婦にとって非常にありがたいものだった。 前置きはこのぐらいにして、番組の中身に入っていく。館内地図は大英博物館のサイトにある(地上階の地図、上層階の地図、低層階の地図)。 番組のナビゲーターは段野安則さんだが、何人ものご当地の博物館マニアが参加して説明してくれた。 2時間で回るための原則として強調されたのは、「①フロア毎に回る、②混んでいたら後回し」ということである。あまりに当然のこと・・・。 (地上階) ![]() これはアッシリア王サリゴン二世の宮殿の門の両側に置かれた魔除け。頭は冠をかぶった神の形をした人間、身体は翼をもった牡牛というキメラ動物である。 高さ4m超。当時は彩色されていたとのこと。見どころは、動きを表現している5本の脚と台座に彫られたゲーム盤。後者は、見張りの兵士たちが遊んだもの。 必見02: アッシリアのライオン狩りレリーフ BC645年頃(第10a室) ![]() ![]() 現在のトルコに位置するハリカナッソスには、「世界の七不思議の一つ」といわれる想像を絶するほどスケールの大きいマウソロス廟があった。これは13世紀ごろまでは原型を留めていたが、地震などで崩壊し、現在は見られない。この廟の中央部分に立っていたという36体の像の中の男女2体(復元された男の像高は3mだが、廟の想像図では小さく見える)と廟の頂上にあった4頭立ての馬車を牽いていた巨大な馬(この馬も想像図では小さく見える)の頭部が展示されている。 ![]() アテネのアクロポリスにあるパルテノン神殿から持ってきてしまったもの。ギリシャとイギリスの間で長い間問題となっているエルギン・マーブルだが、その話は出なかった。 柱廊の内側に張り巡らされたフリーズには、4年に一度の祭りの様子が表現されている。そのクライマックスは、神官と少女が衣を女神アテナに捧げる場面。その左には、ゼウス、アテナなどオリンポスの神々が坐っている。 このフリーズは、マラトンの戦いの勇者たちの奉献であるという説もあり、右上の騎士たちの彫刻はその説に合うようであるが、この異説については番組では触れられなかった。 もう一つの重要なコレクションは、この後ろに展示されている三角形に人物が並んだ彫刻。これは神殿の三角屋根の下の破風に飾られていたもの。背部も手を抜かずにしっかりと彫られている。 ![]() アステカでは、トルコ石は火や太陽を象徴する重要なもので、祭祀や装身具に使われていた。世界に現存するものは55点。そのうち大英博物館には、《双頭の蛇》や《テスカトリポカ神の仮面》など9点が所蔵されている。 見どころは、《テスカトリポカ神の仮面》。「テスカトリポカ神」は、世界を創造し、アステカ神の頂点に立つ神。これは人間の頭蓋骨の上にトルコ石が貼りつけられている。歯も人間のもの。人間を生贄に捧げる習慣があったアステカでは、頭蓋骨の細工に慣れていたらしい。2本の紐が付いていることから、これは権力者の装身具として使用されたものと思われるとのこと。 (上層階) ![]() 永遠の生命と来世での復活を信じていた古代エジプト人にとっては、永遠の肉体が必要だった。そのために70日間もかけてミイラを作った。人間のミイラのみならず猫や鰐のミイラもある。 見どころは副葬品。棺の上には再生の象徴であるスカラベ(フンコロガシの彫刻)や死者に仕えるシャブティ(小人形)が載せてある。中には、毎日働かせるため365体のシャブティに加え、その監督官36体が揃ったものもある。 この部屋には、今回来日する《死者の書》もあるはずなのだが、なぜか放送内では紹介されなかった。 必見07: ネブアメンの墓の壁画 BC1350年頃(第61室) ![]() 従来の形式的表現ではなく、写実的表現であることが注目される。これはアマルナ改革の影響だとのことである。女性は従来のようにすべて横向きで描かれているというわけではなく、こちらを向いた姿でも描かれている。鳥や魚も写実的であり、蝶の画などは標本レベルのリアリズムである。実際に「カバマダラ」とういう蝶が特定されている。 ![]() コバルトガラスの上に白ガラスを載せたカメオガラスである。18世紀に、ウェッジウッドがこれを再現するのに4年間もかかったという。それほどローマ人の技術力が高かったのである。 この壺をよく見ると、細かなヒビが見られる。このヒビは壊れて200個もの破片となっていたものを修復した痕跡。壊れたのは、1845年に展示中で、放送中に1989年に修復している姿が出てきた。番組では「大英博物館の修復技術の高さ」をほめそやしていたが、このような館内事故の修繕に145年の年月を要しているのだから、これは一種のホメゴロシと感じた人もいるであろう。 ![]() 1927年に古代メソポタミア都市ウルの王家の墓が発掘された。イラク南部に住んでいたシュメール人がイラク南部にジグラットを作っていたのである。 展示品は墓の副葬品。牡山羊は、金箔とラピスラズリで美しく飾られている。ラピスラズリは遠くアフガニスタンでしか採れないので、当時の交易の範囲の広さが分かる。 スタンダードは長さ50㎝程度の木箱。両面に3段の画が描かれている。片面は平和を表している。下段には、スカートと付けた人々が宮殿に品物を納める姿、上段には音楽が奏でられる祭りの場面が描かれている。 ![]() ![]() 世界最古のボードゲームの一つ。ウルの王墓から出土したが、当初は遊び方が分からなかった。それが分かったのは、1枚の粘土板(BC177年)にルールが記されていたからである。 盤は、「3段・4列で計12マスに分かれた部分」と「3段・2列で計6マスの部分」が「中段だけの2マスの部分」でつながっている。最初にコマを置くスタートは「6マス部分」の「花マークのマス」である。 ![]() このコマの進め方について、番組では「サイコロの目の数だけコマを進める」との説明だったが、実際にコマが動く図をみれば、番組の説明が間違っていることが分かる。 二人がそれぞれ7個のコマを持ち、自分のコマを先にすべてゴールに出したら勝ちである。 実際には、これに加えて、やや複雑なルールが2つある。一つは、「花マークのマス」と「出口のマス」以外のマスには自分のコマを2つは置けないことということである。もう一つは、相手のコマの上に自分のコマが来ると、相手のコマをはじき出すことができることである。 必見01で見られたように、番兵がこのゲームを楽しんでいたのである。 【追加】 早速、このゲームに挑戦してみました。記事はこちらです。 ![]() オクサス川の土手(現在のアフガニスタン)から出土したアケメネス朝ペルシャの美術工芸品。アケメネス朝ペルシャは、現在のイランを中心にエジプトからパキスタンに及ぶ大帝国を作り、異文化を柔軟に受け入れて、芸術が発展した。 このオクサスの遺宝は、金銀を豊かに使い、デザインや技術でも当時の世界最高の工芸品である。 手のひらサイズの《黄金の馬車》が見もの。乗っているのは馭者と大柄な地方長官らしきオエライサン。注目すべきは、車輪の大きさ。長距離でも安定して走行できたと思われる。リレー方式の郵便馬車制度は世界最速とヘロドトスが述べていることと一致する。 ![]() イギリスの歴史上見逃せない品々が、1939年サフォーク州のサットンから出土した。最初に見つかったのは、全長27mの大きな船。その中から棺が出てきて、これが墓だということが分かった。中には、金、銀、エナメルで細工された工芸品が現れ、暗黒時代と思われていたイギリス7世紀に、高度の文化と豊かな暮らしがあったことが判明した。 もっとも有名なのは、美しい儀礼用の兜。ブロンズや鉄は腐食して失われているが、眉の銀、鼻から頭に延びる金の装飾は見事である。口髭、鼻、眉を合わせると、ドラゴンが羽ばたいているように見え、「イギリスのツタンカーメンのマスク」と呼ばれている。 必見13: ガレオン船自動時計 1585年(第38-39室) ![]() (地上階) ![]() この1.14mの石板は、ヒエログリフ解読の基礎になったものしてあまりにも有名。内容は、プトレマイオス5世をたたえる文章であるが、下から古代ギリシャ文字、古代エジプト民用文字デモティフ、古代エジプト神聖文字ヒエログリフで書かれていた。 石板は、1979年、ナポレオンの遠征隊によって発見されたが、ナポレオンの敗北により、収集品はイギリスに引き渡された。ヒエログリフの解読にあたっても、イギリスのトーマス・ヤングとフランスのシャンポリオンの競争があった。この石版内の楕円で囲まれた部分の字をプトレマイオスと考え、これとクレオパトラと思われていた字とを比較して、P・O・Lの3字が特定されたのである。 (低層階) 必見15: ツリー・オブ・ライフ 2004年(第25室) 1997年から1992年まで続いたモザンビークの内戦で使用された後、隠され、放置されていた多数のロシア製自動小銃AK47を掘り出して、樹の形のオブジェに組み上げた現代アート。かって人命を奪った銃から作られたものとして、「生命の樹」と名付けられた。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2012-06-07 15:00
| 国外アート
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