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最近の新聞にはやたらと広告が多い。今日の朝日新聞朝刊のPACHINCOの広告には、美人たちの写真とともに漢詩が二編載せられていた。
![]() ![]() ![]() 江碧鳥逾白 江(こう)は碧(みど)りにして、鳥は逾(いよい)よ白く 山青花欲然 山は青くして、花は然(も)えんと欲す 今春看又過 今(こ)の春も看(ま)のあたりに又過ぐ 何日是帰年 何の日か是れ帰る年ぞ 老婆心ながら、前半部に関する「新唐詩選」の説明を紹介しておく。 (第1句) ・江=揚子江の本流であってもよい、支流であってもよい、西南中国の大きな川の大きな川は、みな江という言葉で呼ばれる。 ・碧=碧玉のようなふかみどり。ふかみどりの水面のひろがりを、日本の川のはばで想像してはいけない。瀬戸内海の諸海峡くらいのはばで考えるとよい。中国は大国である。自然の規模が日本とちがう。 (第2句) ・青=さみどり。「碧」が沈静な青さであるのに対して、「青」はいきおいのある青さ。 ・然=燃 「新唐詩選」には野暮な和訳はないが、H.A.Gilesの英訳(↓)が引用されていた(Chinese Literature,p.153)。 White gleam the gulls across the darkling tide, On the green hills the red flower seem to burn; Alas! I see another spring has died・・・・・・ When will it come – the day of my return! 新聞広告の第二の漢詩は明代の高啓(1336 - 1374)の「尋胡隠君」である。この詩も高校の教科書にあったので、声を出して読むことができた。 渡水復渡水 水を渡り また水を渡り 看花還看花 花をみ また花を看る 春風江上路 春風江上の路 不覺到君家 覚えず君が家に到る この詩は、「いくつもの川を渡り、あちこちの花を見ながら、春風そよぐ水辺の道を歩いていくと、気付かぬうちに隠棲中の胡君の家に着いてしまった」という意味などで分かりやすい。 高啓のこの詩の第2句に「看」という字が繰り返し出てくるが、この字は前述の杜甫の詩の第3句にも出てくる。これについて、吉川幸次郎は「新唐詩選」のなかで、次のように解説している。 ところで注意すべきは「看」の字である。自然の推移に敏感である人間は、反射的にそれに抵抗して推移をおしとどめたく思う。それは徂(ゆ)く春を惜しむという風流の心からばかりではない。すくなくとも杜甫の場合は、そうではない。季節の変化によって示される自然の推移、それとおなじ時間の上にのって、おのれの生命も推移していく。かくおのれの生命をも巻き込みつつ推移していく世界の推移、それを少しでもおしとどめようとする意欲、それは、風景に対する熟視となって現れる。しかしながら、それはむなしき熟視であって、じっとみつめる杜甫の目の前を、自然は冷淡に音もなく推移してゆき、春ははや半ばをすぎんとする。「今春看又過」の「看」の字には、そういう感情がこもっているのである。 高啓の詩の中の「看」にもそういう意味が含まれているのではなかろうか。 話は変わるが、自宅の前の蝋梅が満開である。これは20年以上前に、園芸店で買ってきて自分で植えたものであるが、なかなか立派な花をつけず、「いつになったらしっかり咲くの!」とからかわれてきた。それが今年は、突然、沢山の花をつけ、咲きにおっているのである。今日は東京でも雪。花からは冷たそうな水滴が・・・。それにもめげつ健気に咲いているこの蝋梅の花や蕾をしっかりと「看」た。 ![]() 蛇足ながら、「年年歳歳花相以 歳歳年年人不同」の出てくる劉廷芝の「代悲白頭翁(白頭を悲しむ翁に代わる)」については困っていることがある。大分前のことだが、何を血迷ったか、この詩(↓)を毛筆で書いて嫁に行っている娘に渡したことがある。娘の方は、これも何を血迷ったか、額装して家の中に掛けているのである。マズイ!!! 何せ娘の義父は長年書道をたしなんでおられ、見事な字を書かれるのだ。いまさら「返せ」ともいえないし・・・。 洛陽城東桃李花 洛陽城東桃李(とうり)の花 飛来飛去落誰家 飛び来たり飛び去って誰(た)が家にか落つ 洛陽女児惜顔色 洛陽の女児顔色を惜しむ 行逢落花長嘆息 ゆくゆく落花に逢うて長く嘆息す 今年花落顔色改 今年花落ちて顔色改まり 明年花開復誰在 明年花開いてまた誰かある 巳見松柏摧為薪 巳(すで)に見る松柏くだけて薪となるを 更聞桑田変成海 更に聞く桑田変じて海となるを 古人無復洛城東 古人また洛城の東に無し 今人還対落花風 今人還(かえ)って対す落花の風 年年歳歳花相似 年年歳歳花あい似たり 歳歳年年人不同 歳歳年年人同じからず 寄言全盛紅顔子 言を寄す全盛の紅顔子 應憐半死白頭翁 憐れむべし半死の白頭の翁 此翁白頭真可憐 この翁白頭真に憐れむべし 伊昔紅顔美少年 これ昔紅顔の美少年 公子王孫芳樹下 公子王孫芳樹の下(もと) 清歌妙舞落花前 清歌妙舞落花の前 光禄池台開錦繍 光禄池台錦繍を開き 将軍楼閣画神仙 将軍の楼閣神仙を画(えが)く 一朝臥病無相識 一朝病に臥せば相識る無し 三春行樂在誰邊 三春の行樂 誰が邊(へん)にか在る 宛轉蛾眉能幾時 宛轉たる蛾眉の能く幾時ぞ 須臾鶴髪亂如絲 須臾にして鶴髪亂れて絲の如し 但看古來歌舞地 但看る古來 歌舞の地 惟有黄昏鳥雀悲 惟(ただ)黄昏鳥雀の 悲しむ有り 美術散歩 管理人 とら 、
by cardiacsurgery
| 2012-01-20 13:32
| アート一般
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