法然と親鸞 ＠ＮＨＫ日曜美術館

　東博で開催中の「法然と親鸞　ゆかりの名宝」。ＮＨＫや朝日新聞社もこの仏教美術展の共催者なのだが、今朝の朝日新聞の番組紹介コーナー「試写室」に面白い紹介記事が載っていた。井上秀樹氏の署名入り記事である。ちょっとピックアップさせていただく。

・浄土宗と浄土真宗の違いのように、今さら聞けない基本から、法然の直筆書の内容など、実物を見ても恐らくわからないことまで（解説する）。

・２人のわかりやすい教えは庶民に支持され、旧勢力から疎まれた。まるで数年前の政界を見るようだ。

・会場では展示替えが頻繁にある。テレビのほうがじっくり見られる作品もあるが、荘厳な趣を醸す実物を見ておきたい気もする。

　共催者の新聞記事としてはずいぶん正直であることに感心した。　たしかに今回の目玉である国宝《速来迎》↓や重文《二河白道図》↓↓も今日で終わる前期だけの展示なので見逃してしまった方も多いだろう。　肝心の「日曜美術館」だが、解説者の五木寛之氏の説明が痒いところに手が届くようであり、拡大画像もたいへん明瞭で、上述の「試写室」に書かれているように、テレビのほうがよく分かったという人が多かったのではなかろうか。

　五木寛之氏の近著「生かされる命をみつめて」（東京書籍、2011.8.16）を読んだが、「法然、親鸞、蓮如という人たちの仕事を振り返ってみると、なによりも大きなことは、その当時の知識人や、あるいは国家や朝廷などの選ばれた人たちより、野に生きる庶民大衆に語りかけたことでした」という文章が印象的だった。　「法然や親鸞の活躍したのは末世的な時代だった。偶然、法然上人の八百回忌と親鸞聖人の七百五十回忌が重なる本年は、東日本大震災や世界不況など先の見えない年である」という今日の五木氏の最後の言葉は心に響くものがあった。

　私は北陸出身で家は浄土真宗である。仏壇の阿弥陀如来の両脇には親鸞↓と蓮如の軸が掛けられている。美術散歩　管理人　とら