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寛政6年5月、江戸大芝居三座に取材した豪華な大判雲母摺りの役者大首絵28図を一度に出版し、華やかにデビューを果たした東洲斎写楽は、翌年正月に忽然と姿を消すこととなるが、その約10ヶ月間に、写楽は140図以上の版画を残した。それらの作品は、題材となった歌舞伎の上演時期により、制作時期が四期に分けられている。本展覧会では、142図、146枚の作品によって、写楽版画の全貌を紹介している。
![]() ![]() ・菱川師宣《歌舞伎図屏風》、東博 ![]() ・流光斎如圭《芳沢いろはの傾城吾妻》寛政5年、神奈川歴博 2.写楽を生み出した蔦谷重三郎 ・喜多川歌麿《婦人相学十躰 ポペンを吹く娘》ホノルル ![]() ・喜多川歌麿《難波屋おきた》ホノルル ・栄松斎長喜《四季美人 雪中美人と下男》東博 3.写楽の全貌 【第一期】 写楽のデビュー作28図。寛政6年5月、都座、桐座、河原崎座の夏狂言に取材し、一挙に出版された黒雲母摺りの役者大首絵。色数が少ないが、黒で引き立っている。顔が大きく、目は個性的、鼻は鉤鼻で小鼻が離れている。鰓が張っているところや皺はそのまま描き、女形の輪郭線も凹凸激しく男性的に描いている。役者にとって容赦ない描き方で、誇張され、滑稽味も感じられる。こういった個性的な画風が海外で受け、近年でも一点5千万円以上の値がついている。 この28作品が一堂に会しているさまはまさに壮観だった。そこでこの28作品のサマリーを以下に書いておくこととする。 「花菖蒲文禄曾我(はなあやめぶんろくそが)」 寛政6年5月5日初日、都座: 仇討物 1)奴袖助(大谷徳次1):リー&ジュディー・ダークス、石井家家臣 2)石井源蔵(坂東三津五郎2):ギメ、父の仇討で返討、ニヒルな感じ、着物の空摺 3)藤川水右衛門(坂田半五郎3):個人、敵役 4)おなよ・蟹坂藤馬(佐野川市松3・市川富右衛門):ベルリンアジア博、私娼↓と水右衛門の元子分 5)おなよ(佐野川市松3):マーン、仇討の味方した私娼 ![]() 7)おしづ(瀬川菊之丞):ギメ、田辺文蔵↓の妻 8)田辺文蔵(市川八百蔵3):ギメ、石井家忠臣、仇討加勢、腿切られる、遺児育てる 9)石部の金吉(嵐龍蔵2):ギメ、文蔵に借金の返済迫る→娘身売り 10)やどり木・若草(瀬川富三郎2・中村万世):アムステルダム、大岸蔵人の妻・腰元 11)やどり木(瀬川富三郎2):ギメ、説明↑ 「恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな」 寛政6年5月5日初日、河原崎屋 12)奴一平(市川男女蔵1):ギメ、殿の大金を奪われそうになる「赤襦袢」 13)江戸兵衛(大谷鬼次3):メトロポリタン、奴一平から大金を強奪 14)鷲塚八平次(谷村虎蔵):ベルギー美歴博、悪党の親分 15)藤浪・小笹(岩井喜代太郎2・坂東善治1):水田、善人鶯坂左内の女房・悪人鷲塚次の女房、汚れ残念 16)伊達の与作(市川門之助2):ベルギー美歴博、腰元重の井との不義密通で追放 17)鷺坂左内(坂東彦三郎3):ギメ、与作と重の井を逃がしてやる家老 18)竹村定之進(市川蝦蔵):アムステルダム、娘重の井の助命を乞い自殺 19)おさん(小佐川常世2):ベルギー王立図書館、一平の姉 ![]() 「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」 寛政6年5月5日初日、河原崎座 21)川連法眼・鬼佐渡坊(沢村淀五郎2・坂東善治):ベルギー美歴博、法眼(右)は義経主従を匿う、鬼佐渡坊「鯰坊主」は追手 ![]() 22)松下造酒之進(尾上松助1):大英博、志賀大七に殺される 23)志賀大七(市川高麗蔵3):ギメ、松下造酒之進を殺す 24)鶯の次郎作(森田勘彌8):ディヴィッド・ワインバーグ、宮ぎの↓を載せた籠を志賀大七と担ぐ 25)宮ぎの(中山富三郎1):大英博、松下造酒之進の姉娘、仇討、「グニャ富」 ![]() 27)肴屋五郎兵衛(松本幸四郎4):マーン、仇討を助ける侠気の男 28)ぼうだら長左衛門・かな川やの権(中島和田右衛門・中村此蔵):ギメ、遊客長左衛門・案内の権 【第二期】 寛政6年7月、8月、都座、桐座、河原崎座の秋狂言に取材した作品38枚。大首絵がなく、すべて全身像になった。大判では1点を除き2人の役者が、細判では1枚に1人ずつが描かれている。 躍動感のあるポーズが特徴的。画面の中の人物の占める面積が大で、背景が黄つぶしのものが多い。 「けいせい三本傘」 寛政6年7月25日初日、都座 ・山三元春・かつらぎ(沢村宗十郎3・瀬川菊之丞3):背景を白雲母摺りとした、大判二人全身図。美男の山三にもたれかかる島原遊郭のかつらぎ ![]() ・川島治部五郎(大谷鬼次3):中右コレクション、富田助太夫を闇討、不思議なポーズ。 ![]() ・義興みだいつくば御ぜん(中村粂太郎2):シカゴ、戦死した新田義興の妻 ![]() ・新口村孫右衛門・けいせい梅川(松本幸四郎4・中山富三郎1):ハーヴァード大美、義父の草履の切れた鼻緒を紙縒りですげ替えている梅川 ![]() 寛政6年11月、閏11月の都座、桐座、河原崎座に取材した役者絵58図の他、相撲絵や追善絵など話題性のある作品もみられる。細判役者絵では、背景や小物なども描かれ、一段と芝居絵らしくなっている。多作のためかいささか類型的になってきているが、舞台初日に多くの版画を間に合わせるために「蔦屋・写楽工房」として制作されていたのであれば無理からぬことである。間判大首絵では、背景が雲母ではなく黄つぶしとなっている。 「松貞婦女楠(まつみさおおんなくすのき)」 寛政6年11月1日初日、河原崎屋:太平記に取材したいくつかの物語。 ・足利尊氏(尾上松助1):トレド、 尊氏は篠塚五郎貞綱の「暫(しばらく)」の受け。美しい色彩と模様。 ![]() ・大伴の宿祢山主(嵐龍蔵2):敵役 ![]() ・さざ浪の辰五郎(市川八百蔵3)と安倍貞任(市川蝦蔵):上使を装って源義家の館に上がり、義家の身代わりの辰五郎を刺殺した貞任 ![]() ・とら屋虎丸(嵐龍蔵2):ベルギー美歴博、黄つぶしの間判大首絵、「花都廓縄張」に登場する奴なみ平。誇張された表現が滑稽味のある魅力を生んでいる。 ![]() 第四期は、翌年の寛政7年正月の都座、桐座の新春狂言に取材した作品。第四期の役者絵は、連続した背景の細判のみが描かれ、形式化が進んでいる。残っている作品数が10点と少ないのは、写楽人気が薄れたためだろうか。この後、写楽は忽然と姿を消すが、あまりの多忙に疲れただけでなく、士分への復帰が困難になる危険が生じたなどの理由があったのかもしれない。 「江戸砂子慶曾我(えどすなごきちれいそが)」 寛政7年1月15日、都座 ・曾我の五郎時致(坂東三津五郎2):東博、はやる曾我五郎、兄・十郎と敵・工藤佑経とともに描かれている。 ![]() ・工藤左衛門祐経(市川蝦蔵):シカゴ、 敵討ちにはやる曾我五郎とそれを抑える兄・十郎とともに描かれた工藤佑経。 ![]() 写楽が描いた歌舞伎の同一場面が、歌川豊国の「役者舞台姿絵」、勝川春英の「大首絵などの役者絵」、勝川春艶の「団扇絵」に描かれていた。面白かった。 5.写楽の残影 ここでは栄松斎長喜、歌舞伎堂艶鏡、歌川国政、歌川豊国らへの写楽の影響が認められる作品が出ていた。残念だったのは、ギリシャや三重に残っている写楽の肉筆扇面画についての言及がなかったことである(これらに関する以前の記事はこちら)。これらはそれぞれ寛政7年5月および寛政10~13年ごろに制作されていたものであるから、写楽が33歳で浮世絵師を廃業しても趣味として絵を描き続けていたことを示しており、本名に戻った元写楽あるいは斎藤十郎兵衛の58歳までの幸せな人生を想像することができる。 美術散歩 管理人 とら 追 加: 「ハンズオン体験コーナー: 写楽に挑戦!」@ 東博本館1階 《三代目大谷鬼次の江戸兵衛》の5色摺りです。薄い色から順に、橙→緑→茶→黒→銀の5色。見当合わせが難しいことと黒で汚れやすいことを体験しました。作品は↓。お笑いください。 ![]() 参 考: 「写楽 in 知られざる在外至宝 by NHK」 のメモをアップしました。 (こちら)
by cardiacsurgery
| 2011-05-12 23:24
| 浮世絵
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