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浮世絵の中でも役者絵あるいは芝居絵はちょっととっつきにくいところがある。その勉強のためにこの展覧会を見に行ってきた。安い入場料なのに素晴らしいリーフレット↓を頂戴し、さらに「西田亜未」学芸員の「役者に首ったけ展を楽しむツボ」と題する講演会を聴く機会までいただいた。
まずプロローグとして、官許の江戸三座(森田座・中村座・市村座)の場所。天保の改革で浅草猿若町に三座集約される以前の場所が、地図で示された。 次は、國貞の《新板江戸名所八景一覧》から、堺町の中村座の絵が出てくる。「あうあたり=大当り》」と書いた看板や「招き看板」も描かれている。なおこの博物館2階には助六の「招き看板」↓が展示されているということで、講演終了に見てきた。看板の下には、助六用のきせるや揚巻用のたばこ盆・きせるなども展示↓↓されていた。 まず「曽我もの」として、三代豊国の《嘉永五年春狂言見立》の大勢の役者が並んだ絵が出てきた。参考として各役者の給金が書き込まれており、工藤佑経・曽我十郎・曽我五郎役の給金が高い千両役者は、前列に描かれていた。 次は、國貞《江戸花二人助六》が登場。助六(実は曽我五郎)は、三月からの弥生狂言で好んで上演されたとのこと。道成寺ものでは、安珍・清姫の後日談を描いた豊国《京鹿子娘道成寺》が登場。さらに版元の違う豊国の《双蝶々曲輪日記》が紹介された。 講演会では、「ツボ1 イケメンを探せ! 」は省略されたが、リーフレット↑で紹介されていたのは、五代目松本幸四郎、三代目坂東三津五郎、五代目岩井半四郎、三代目尾上菊五郎、七代目市川団十郎などである。リーフレットの表紙もイケメンの揃い踏みである。 講演会では、「ツボ2 上演期間に売り抜くべし、ひしめき合う版元たち」が紹介された。芝居絵を売るために重要なことは、人気絵師の確保と上演に合わせた制作であるが、そのため人気絵師に依頼が集中し、制作期間が短いため、似たような印象の絵が多くなったとのこと。これは納得!!!人気絵師としては、豊国やその弟子が挙げられた。 続いては、「ツボ3 絵師だってライバルです」ということで、役者同様絵師も腕を振るっていた。 芝居の宣伝には、上演ごとの「辻番付」、「絵本番付」、「役割番付」のほかに、年1回の顔見世興行で「顔見世番付」が出された。 「ツボ4 役者も人ですから、喧嘩もします」のところでは、市川海老蔵の話が出て大笑いとなった。スライドには、豊国の《此狂言ハ来春相わかり申候》で市川家と尾上家の仲違いを岩井半四郎が仲介で和解した場景の予告が出された。 歌舞伎の二大中心地の上方と江戸の間を役者が頻繁に行き来していた。代表的な下り役者としては三代目中村歌右衛門が紹介された。 ここで「ツボ5 豪華キャストでおくる舞台! その背後に金主(スポンサー)あり」 このスポンサーとしては、江戸中村座の金主である「大久保今助」の名前が出てきた。これによって上方の三代目中村歌右衛門と江戸の三代目坂東三津五郎の共演が成立したのである。 「上方絵」は、江戸の影響を受けて始まったものだが、当初は贔屓や粋人の余業であった。代表的な絵師としては、「寿好堂よし国」が紹介された。よし国は、三代目中村歌右衛門の贔屓集団である寿好堂社の主格ということである。作品としては、《初代中村鶴助 俳名芝賞》のスライドが出てきた。 その後、上方にもプロ絵師が登場し、色彩豊かな絵も制作されたが、天保の改革で中断し、再開後も一回り小さな中判サイズで、高価な絵具やぼかしを使った「上摺」と安価な絵具で色数も少ない「並摺」の2種類が用意された。 これが、「ツボ6 懐具合と相談します」である。↓左は並摺、右は上摺の1例、歌川国員の《祇園祭礼信仰記》。 第3部 舞台がはねても首ったけ 「楽屋図」は、舞台裏を知りたいという需要にこたえたもので、スライドには豊国《江戸楽屋三階之図》、芳幾《楽屋三階之図》、三代豊国《当戯場三階餅番之図》など面白いものがいくつも出てきた。 「日常の姿」としては、面白かったのはチラシ↓のヴィジュアルに使われている国芳《独息子に嫁八人》。ここで演者の「斉藤投手みたい」とのジョークは大受け。展覧会場で、国芳の絵に書きこまれた歌を再確認すると、「一輪の牡丹に うしのつのめたつ 恋あらそいの 嫁も八人」だった。 役者の評判を書き込んだ絵として紹介された家毛という絵師の《大井川芸魁》が面白かった。評判の良い役者は蓮台で、中ぐらいの役者は肩車で、評判の悪いものは水中を歩いて行く。兄弟の役者で、弟が蓮台で、兄が肩車で渡ることになり、お互いに手拭いをつかんでいるところも描かれていた。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2011-03-06 23:14
| 浮世絵
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