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南宋時代の青磁は、「宙(そら)を写すうつわ」と言われたとのこと。日本には鎌倉時代より龍泉窯の青磁が入ってきているが、これは中国から見れば輸出用の一般向きやきもの。これが室町以降、茶道具の砧青磁として珍重されてきた。気泡のため、美しく澄んだ半透明感がある。
一方、宮廷用の良質の青磁は、北宋の汝窯から南宋の官窯に伝わっている。わが国には汝窯の伝世品は一点のみ、南宋官窯のそれも砧青磁に比べれば少ない。 今まで、砧青磁は飽きるほど見てきたが、南宋官窯のものはそれほど多くない。明るく透明感のある青緑色で、貫入が幾層にも重なっている。南宋官窯の「郊壇下窯址」は以前から分かっていたが、「修内司窯址」の全容は最近になってようやく分かってきたのである。後者については、現在、大阪市立東洋陶磁美術館でその展覧会が開かれている。 また現在、台北故宮博物院では南宋芸術興文化特展 が開かれており、そこには南宋青磁も出陳されているようである(↓の註2参照)。 今回、その南宋青磁の展覧会が根津美術館で開かれたので、見に行ってきた。 (龍泉窯 南宋 13世紀) 1.国宝 青磁 下蕪瓶 アルカンシェール美術財団: 明るい青で、やや白い。この財団は原美術館やハラ・ミュージアム・アークの設立母体。 3.青磁 槌形瓶(砧形瓶) 根津40349: 胴裾に貫入があり、南宋官窯青磁の雰囲気が感じられる。 7.重文 青磁 筒形瓶(銘大内筒) 根津40347: もとは筆入れだが、掛花生として使用。貫入が目立つ。以前、南宋官窯の作とする説があったが、現在では、龍泉窯址で同種の磁片が見つかったことから、南宋官窯を真似た砧青磁とされている。周防大内家に伝わったもの。 10.青磁 筍形瓶 根津40346: やや白味を帯びた明るく美しい作品。高台露胎部には灰白色の生地が見える。 11.青磁 下蕪形瓶 徳川美術館: 貫入あり。同形瓶は、これを含め3点。 14.青磁 琮形瓶 徳川美術館: 徳川では「算木花上生」となっていた。展示同形瓶3点のうちで一番明るい青。 24.青磁 鯱耳瓶(南宋~元、13-14世紀) 静嘉堂文庫: これは下部の貫入が茶色。胴のヒビはあまり目立たない。千利休→伊達家に伝来。 32.青磁 蓮弁文碗 根津40295: 見込みと外側の胴部にできている青磁釉の溜りに味わいがある。 40.青磁 輪花洗(銘青海波) 金沢市立中村記念美術館: 鮮やかな青色の水指。水がゆれた時の水面のさまが銘のゆかり。マイ・ベストの一つ。 48.青磁 袴腰香炉 根津40429: 釉薬が薄くかかった脚部は味がある。露胎部は赤く焼けている。常葉山文庫の2点も良かった。青銅器の「鬲」(れき)に類した形だが、わが国では袴をつけた腰というくだけた名称。 55.青磁 蓮弁文盃 根津41235: 貫入が美しい。根津美術館蔵品選「茶の美術品」に載っている画像は↓であるが、まるで碗のようである。 (米色青磁 南宋官窯 12-13世紀) 酸素が不足した窯(還元炎焼成)で高温状態にすると、酸化鉄の中の酸素も奪われて 釉は青色に発色するのに対し、酸素が十分な窯(酸化炎焼成)で通常の火力で焼くと、釉薬の鉄と酸素が結合し 赤茶色に発色するという機序によって「米色青磁」ができる。これは磁州窯のオリーブグリーンの「秘色青磁」の発色と同じメカニズムであるが、この「米色青磁」は意図的に作られたのはないかと考えられている。 56.青磁 盃(米色青磁) 常葉山文庫: 二重貫入。 57.青磁 洗(米色青磁) 常葉山文庫: 明るい色。二重貫入 58.青磁 下蕪瓶(米色青磁)常葉山文庫: 高台の一部が青い。荒々しい二重貫入。 (南宋官窯 12-13世紀) 60-61.青磁 管耳瓶 個人蔵: 貫入が目立つ。画像はこちらで見られます。 62.青磁 洗 東博: これも二重貫入。 63.重文 青磁 輪花鉢 東博: 上野で写真を撮っている。↓はDBより。 65.重文 青磁 下蕪形瓶 出光美術館: 下部に二重貫入が目立つ。 (陶片・磁片)82-91.米内山陶片 南宋時代 12-13世紀: の米内山康夫元杭州領事が郊壇下窯址で採集したもの。米色のものもある。 76-79.鎌倉市内遺跡出土青磁片 龍泉窯 南宋~元 13-14世紀 80.京都市内遺跡出土青磁片 龍泉窯 南宋~元 13-14世紀 美術散歩 管理人 とら 註1: 青磁に関する記事 1.器物参観(常設展+企画展) @国立故宮博物院 2.特別展:絲路傳奇+常設展+企画展 @国立歴史博物館 in 台北 3.青磁 @東京国立博物館 東洋館 4.青磁の誕生 by 三笠景子研究員 @東京国立博物館 5. 日本の”美術”の愛し方 @徳川美術館 6.伊藤郁太郎: 「中国宋代の青磁」雑考 メモ 7.「北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展」― 行けなかった展覧会 註2: 南宋芸術興文化特展 @台北故宮博物院 (2010.10.8-12.26) ○南宋 官窯 青磁尊 ○南宋 官窯 青磁菱花式盤 ○南宋 龍泉窯 鳳耳瓶
by cardiacsurgery
| 2010-10-11 13:59
| 東洋アート
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