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ヴィンタートゥールは、スイス北部の人口10万ほどの小都市にもかかわらず、ヴィンタートゥール美術館とオスカー・ラインハルトのコレクションを所蔵する2つの美術館が存在している。しかしこの有名な文化都市を訪れる機会はなかなかない。
ヴィンタートゥール美術館は、バーゼル、チューリヒ、ベルンの各美術館に次ぐスイス第4の近代美術館であるが、改修工事のため、そのコレクションが昨年からヨーロッパや日本の都市を巡回している。90作品すべて日本初公開というフレコミもinviting。 世田谷公園は樹木が多く、吹き抜ける風が快適。美術館の入り口には冷水のサービスがある。8月中は中・小学生は無料ということもあって、生徒さんが熱心にメモをとっている姿が目立つ。これは素晴らしい教育。大人もボヤボヤしていられない。 スイスのコレクターが寄贈した作品が中心なので、北部スイス人の好みがよく分かる。お決まりのフランスの作家に混じってスイス・ドイツ・オランダの作家の名品が多い。生徒さんたちは、章立てに沿って印象派から抽象絵画へと勉強していくのがよいのであろうが、大人としてはホドラー、ヴァロットン、ジャコメッティ父子、クレー、アンカーなどの作品が楽しみである。 1. フランス近代Ⅰ:ドラクロワから印象派まで ・モネ《乗り上げた船、フェカンの干潮》: 1864年の作品。全体に暗く、マネの影響を脱していない。 ・シスレー《朝日を浴びるモレ教会》: 今まで見たシスレーの中では、一番明るい空や建物。 ・ルノワール《村の家》: ルノワールに風景画はあまり好きではなかったが、これはまとまっている。 ・ルノワール《ココの頭部》: 息子の彫刻。目がかわいい。 2. フランス近代Ⅱ:印象派以後の時代 ・ゴーギャン《3頭の雌牛》: 緑が全体を支配している。ピサロの影響。 ・ゴッホ《郵便配達人 ジョセフ・ルーラン》: 今回の目玉。背景の黄色と帽子や服装の青の対比が鮮烈。髭のタッチと色彩は印象的。 ・ルドン《ブルターニュの港》: 珍しい風景画。 ・ルドン《野の花》: 花の色彩と花瓶の青の対比が独特。 ・ルドン《アルザスまたは読書する修道僧》: 本の表紙のアルザスから第一次大戦勃発 3. ドイツとスイスの近代絵画 ・リーバーマン《カシーネの競馬》: ドイツ印象派。ドガの画題を想起させる。 ・コリント《モデルと一緒の自画像》: 荒ぶる「ドイツ印象派」または表現主義の先駆。激しいタッチの画家の肖像。 ・アンカー《コーヒーとコニャック》: スイスの国民画家の静物画。子供の画も見たかった。 ・ホドラー《女性の頭部》・《自画像》: 独特の荒いタッチの画。 ・ホドラー《ジュネーヴ湖畔の柳》: 樹・湖・山・石・女性、どれをとっても美しい。これは今回のマイベスト。 ・アルベルト・ジャコメッティの父ジョヴァンニ・ジャコメッティの《自画像》と《妻アネッタ》は力作。 ・リギーニ《ビュルクリ広場の花市》: ボナールを上回る色彩の爆発。 4. ナビ派から20世紀へ ・ドニ《エヴァ・ムリエの肖像》: マルトの妹。落ち着いた画である。 ・ボナール、ヴュイヤールの画がたくさん出ていた。中ではヴュイヤールの《室内 夜の効果》の母と姉は暗くて印象に残る画だった。 ・マルケ《ラ・ヴァレンヌ=ティレール》: 抑えた色彩の美しい風景画。 ・ヴラマンク《野菜農園の道》: 不規則な点描。激しい色彩。これぞフォーヴ。 5. ヴァロットンとスイスの具象絵画 ・ヴァロットン《水差しとキズイセン》: 静物の色彩がスッキリとした透明感を示している。まさしくスイスの具象絵画である。 6. 20世紀Ⅰ:表現主義的傾向 ・ヘッケル《池で水浴する者たち》: ブリュッケ。 ・ヤウレンスキー 《ルネサンス風の頭部》: 激しい色彩の肖像。 ・カンディンスキー《はしごの形(しみの上の)》: わずかに具象の要素を止めている。 ・クレー《水脈占い師のいる風景》: 不思議な画。占い師は磁石のついた棒によって渦様の水脈を当てている。 ・ココシュカ《アヴィニオン》: 表現主義的風景。 ・ベックマン《ストレリチアと黄色いランのある静物》: アムステルダム亡命中の表現主義的静物画。ストレリチアとは、bird of paradice。 7. 20世紀Ⅱ:キュビスムから抽象へ ・ピカソ《二人の人物》: マリー=テレーズ・ワルテルとその妹。一体化したように仲良く読書している。 ・グリス《ピエロ》: 理解可能な作品。この程度のキュビスムはむしろ好ましい。 8. 20世紀Ⅲ:素朴派から新たなリアリズムへ ・ルソー《花束》: 素朴な静物画。 ・ボーシャン《オデュッセウスの難破》: 素朴な歴史画。 ・アルベルト・ジャコメッティ《林間地(9人の人物による構成)》: 長短の細い人物が一定の間隔で並んでいる。 ・アルベルト・ジャコメッティ《ディエゴの胸像》: 見慣れた細長い像。横顔はマトモ。 ・モランディ《静物》: 灰色がかった地味な静物画。 美術散歩 管理人 とら 家内の追記 孫を二人連れてこの展覧会に行きました。とらは猛暑のため今回はパス。 上の孫は小学校5年生なのでゴッホやピカソなど主な画家の名前を知っています。この子はマグリットやクレーなどシュール系のものが好きなようです。一番のお気に入りは最後に展示されていたシュッテクリンの《イメージ》。女の人がベッドで寝ているのを義足を付けた若い男が壁穴からのぞいている絵。絵にはいろいろなものが描かれていていろいろと想像がふくらむ絵です。細かく絵を見て「天井から何かぶら下がっている」とか「怪獣のようなものがいる」「女の人のおなかに赤ちゃんがいるみたい」等々言っていました。 下の小学校2年の孫の今回のお気に入りはアンカーの《コーヒーとコニャック》、他にルドンの《野の花》など静物画に開眼?この子も「色がはっきりしているね」とか「ぼやけた絵だね」「ガラスがうまく描かれている」とか感想を述べるようになりました。今回彫刻もいろいろ見て、彫刻の面白さも経験でき楽しんだようです。 ちなみに私のお気に入りはディートリッヒの《エシュリバッハの冬の風景》↓です。冬の寒さがひしひしと伝わってくる静かな絵です。上の孫いわく「この絵、写真を見て描いたんだね」と。キャプションもしっかり読んでいる孫にびっくり。大きくなったなーと感慨ひとしおの一日でした。 (2010.8.17)
by cardiacsurgery
| 2010-08-08 10:27
| 国外アート
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