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実は、この展覧会は行かないつもりだった。チラシに載っている展示品は、2000年の「世界四大文明 中国文明展」(短報はこちら)や「中国国宝展」(短報はこちら)などで見たものとほとんど同じのようなものばかりだったし、肝心の新石器時代が完全に脱落しているようだったからである。
ところがネットで展示品リストを見ると、北宋のものがかなり含まれており、特に汝窯の青磁が出ていることが分かった。ここ数年、雨後天晴色の汝窯青磁に興味を持っていたのであるが、今年大阪市立東洋陶磁美術館で開かれた「北宋汝窯青磁 考古発掘成果展」↓を見逃してしまっていたからである(記事はこちら)。 章立ては、第1部: 王朝の誕生、第2部: 技の誕生、第3部: 美の誕生となっている。 第1部で、夏、商・西周、春秋・戦国、前漢に達すると、第2部では、再び商、西周、戦国に舞い戻り、時代順に飲食の具、アクセサリー、暮らしといったサブタイトルで展示品が並ぶ。第3部でも、商、西周、南北朝に戻って書画の源流、神仙の世界、人と動物、仏の世界のサブタイトルに分かれて時代順に展示されているから混乱する。 全部で147点という多数であるからこそ、正確に時代順に展示したほうが良かったと思う。したがって鑑賞記事もひどく書きにくいので、足を止めたところについて簡単なコメントを残していくだけにする。 二里頭遺跡=夏王朝とは必ずしもいえないが、二里頭遺跡出土品=夏時代遺品ということは許されると思う。その中でチラシに載っているトルコ石の《動物紋飾板》が大切そうに展示されていたが、類似品は「中国国宝展」で見ている↓。今回のもの(左)はなるほど狐に似ているが、前回(右)の動物は何だろうか。まさか狸ではあるまい。 西周の《灰釉豆》が原始青磁であるとの説明があったが、その光沢になんとなく納得した。 金褸玉衣↓も何回か見たのでびっくりしない。展示品が金糸でなく銅糸でかがってあると知ってがっかりした。これではフェイクである。 戦国時代の《案》=食事机の模様が素晴らしかった。 後漢の《七層楼閣》は大きな副葬品であるが、以前にも「世界四大文明 中国文明展」で類似品を見ている↓。両方ともに犬が置かれているのが面白い。連絡通路の位置は、今回のもの(左)より前回のもの(右)のほうが安定しそうである。 北宋の磁器は見逃せない。耀洲窯の《青磁尊》の緑灰色は記憶に残る色彩。磁洲窯の《白地枕》は、真っ白な地に送子観音が描かれている。同じような磁洲窯の《白釉獅子枕》が現在東博本館12室に出ている。 南北朝(北斉)の《褐釉扁壷》は、穏やかな褐色の地に琵琶・シンバル・横笛を奏する3人と音楽に合わせて踊っているような1人が描かれている。 いよいよお待ちかねの《青磁套盒》。形は六角、色はややくすんだ天青。大阪の図録から引用(↑)した二つの青磁套盒の中間であるといっても良い。器はひどく薄く、水色に光る釉が軽くかかっているようである。単眼鏡で見ると細かい気泡が見える。目を凝らして見たが、貫入は確認できなかった。今回の図録には細かい貫入があるとなっているので、見なかった部分には存在しているのかもしれない。なお図録の写真は暗くて実物の色彩と大分乖離していたので購入は見合わせた。秋には「青磁展」が予定されているようなので、その図録を期待したい。 隣にあった釣窯の《澱青釉碗》の発色が素晴らしかった。灰茶色の陶胎に失透性の青い釉が厚くかかっているが、口縁と高台の一部では釉が透けて胎土の茶色が露出している。いずれにせよ濃い青色は素晴らしい。粗い貫入も見られた。これと類似の釣窯の《澱青釉輪花鉢》が東博にあり、現在表慶館第2室に出ている。 北宋時代の《金製アクセサリー》↓やガクのある花に蝶が停まっている《金製耳飾り》は精細で美しかった。 龍門石窟から巨大な《宝冠如来坐像》ー唐時代が来ていて驚いた。 同じく唐時代の法王寺地宮出土品の《白磁壷・白磁長頸瓶・白磁合子・白磁碗》の透き通るような白に感動した。 南北朝時代の《画像磚》は、褪色もせずしっかりと色彩が残っていたことに驚嘆した。 なかなか面白いものも多く、思わず時間が経ってしまった。金曜日で良かった。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2010-07-31 20:35
| 東洋アート
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