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小野竹喬展の前期の際には、工芸館・常設展と回ったので、最後になった「水浴考」は飛ばしてしまった。そこで小野竹喬展の後期を見た後、すぐに2階に上がってこの小特集を見なおしてきた。
小特集といっても、画像入りの立派なパンフレットがあり、おまけに写真撮影もOKなので十分に時間を使う価値がある。 水浴を題材とした美術は、神話や聖書に立脚した「水浴図」以降、無数といっても良いほど存在している。これらの「水浴図」を分析すると、①裸身に対する官能的な欲望のみならず、②人間と自然の関係や生と死につながる根源的な主題を含んでいる。 水と身体: 第1回文展に出品された新海竹太郎の《ゆあみ》(↓左)は、当時としては思い切った裸婦像である。両足先をぴったりと揃えた窮屈な姿勢で観る者の好色な視線をかわしているのだという。 樋口五葉の新版画《浴場の女(ゆあみ)》(↓左上)は浮世絵の延長線上に生まれた近代の「水浴図」である。山本鼎の創作版画《水浴》(↓左下)では西洋画への憧憬が感じられる。 水浴図の主題は、美しい裸体を描くことよりも、裸体をめぐる欲望への誘惑と禁止の緊張関係に裏打ちされた視線の交錯にあるとも考えられる。 ピカソの《ラ・ガループの海水浴場》↓上では、水着のカップルを大きく目を開いた老いたピカソの分身が見つめ、若い愛人ジャックリーヌがこれを横から見ているという視線の交錯が見てとれる。 梅原龍三郎の《ナルシス》↓下左では、洗面器に映る自分を見つめる自己愛の男性の視線と、この裸身の男性器に注がれる同性愛的な観賞者の視線が交錯する。 ゲリー・ウィノグランド、 ポートフォリオ「Fifteen Photographs」より 《トラビス湖のヒッピーの谷-テキサス州オースティン》↓下右 でも海に注がれる死への誘惑の視線とその裸体の背後から注がれ観賞者の性的欲望の視線が交錯する。 楢橋朝子の写真 half awake and half asleep in the water が5点出ていた。《IWASEHAMA 》↓下、《YAMANAKAKO》、《MEKARI》↓上、《ISO》、《NOTOJIMA》である。いずれも水面に浮かぶ彼女の不安定な視点から水上・水面の両方を見ており、題名の「半醒・半睡」で表されているように「夢とうつつのはざま」、一歩進んでいえば「生と死のはざま」を漂っているものであるともいえる。 浴槽や柩に溜った水面に自分の姿を映し出すときに人間不在の「水浴図」が完成する。香月泰男の《水鏡》↓にこれを見てとることができる。 とても意欲的な企画であり、勉強することが多かった。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2010-04-05 00:13
| アート一般
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