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川崎市立ミュージアムの「安田靫彦展ー歴史画誕生の軌跡」(記事はこちら)と同時開催の展覧会。副題はそれぞれ違うが、内容的にはほぼ同様。合わせて一本といった形の展覧会である。
第一章「歴史画」 ・《紅葉の賀》: 紅葉を楽しむ舟遊びの公家。派手な色彩。 ・《羅浮山》: 右図。隋の趙師仙が梅の名所の羅浮山に出かけ、梅の精に遭遇する。美人と白梅のバランスがよい。梅は靫彦の十八番。 ・《神農 未完》: 古代中国の農・医の神。鋤で土地を耕す姿はミレーの画のよう。下絵も2枚出ていた。 ・《阿呼詠詩》: 阿呼とは道真の幼名。11歳の道真、月夜の梅の詩を詠む。細い線が印象的。 ・《伊勢物語(あまのかわ)》: 双幅。右に萩・桔梗・女郎花・芒、左に業平。82段の業平の歌「狩暮らし たなばた つめに 宿からむ 天の河原に 夜は来にけり」が下敷きになっている。上部に金銀砂子。 ・《生成》: 半裸の女性が若草を手に持ってながめている。キャプションにも説明なし。 ・《比ゝ奈》: 紙雛。絵の繊細な線描と流麗な書のハーモニー。家持の歌「はるのその くれないにほふ もものはな したてるみちに いでたつおとめ」が下敷き。 ・《八橋》: 有名な伊勢物語9段の状景。宗達の絵を参考にした琳派作品。派手な色彩。 ・《月の兎》: 下図。淡彩と線描。流麗な絵である。旅に疲れた天帝に狐は魚、猿は木の実を持ってくるが、兎は何もないので自らを火に投じて帝に捧げた。天帝は兎を哀れんで月に連れていった。鳥獣戯画を彷彿とさせる見事な絵。 ・《西行法師》: 月は黒隈で浮き出され、胡粉の白の足元の小さな花びらは見逃しそうであるが、花びらの先端がピンクになっているところは目を凝らさないと分からない。もちろん「願わくは 花の下にて我死なん そのきさらぎの望月のころ」が下敷き。 ・《観世音菩薩像》: 頭の如来の化仏や手に持った蓮の紅と台座の墨色の対照がいかにも優雅。 ・《女楽の人々》: 隋~初頭の衣裳の三人の女性。琵琶や百済琴を持っている。派手な色彩。下絵にはない草花が本絵に描きこまれ、アクセントとなっている。 第二章「花木」 ・《寒香留古春》: 寒香とは梅の香。幹のたらしこみは琳派。 ・《春暁》: 下図。力強い枝ぶりの白梅。幹はたらしこみ、枝の交差部は地塗りを省いている。 ・《佐久良》: 下図。葉桜。梅と違い靫彦の桜は奇麗だが迫力に乏しい。たらしこみの葉が白い花を圧倒している。下絵でも葉だけを着色している。 ・《紅梅青花》: チラシの絵。染付けの鉢に桃の蕾。先端の部分から開いてくる。 ・《紅梅高麗扁壷瓶》: 下図。瓶の青と紅梅のピンクの対照が見事である。お気に入りの一つ。 ・《初日の出》: 下図。画面を斜めに切り裂く白梅の老木。背景の大きな太陽とオレンジに染まる空。まるでゴッホ。 ・《瓶花》: 織部の瓶に椿。茶道の影響とか。 第三章「写生画」 川崎で十分味わってきたので、さらっと見たが、長州緋桜を描いた《桜》、数日毎に描いた《チューリップ》、数時間毎に描いた《ばら》、色についての細かな書き込みのある《菖蒲》、バラ科の多年草の《下野》、横美の「窓」の試筆である《芍薬》、「くられだま」と呼ぶ《草蓮玉》などに目がいった。 二つの展覧会を見て、ジャンルとしては歴史画家であり花卉画家でもあり、表現としては色彩画家であり線描画家でもあるという安田靫彦の両面を心ゆくまで楽しんだ。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2010-03-20 10:14
| 国内アート
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