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前期の展覧会(記事はこちら)が良かったので後期も観にいくことにした。美術館に着くと、玄関に「混雑していますので、靴のままでお上がりください」との張り紙。平日なのに?と思って、受付で聞くと、「テレビに出たから」とのこと。
そういえば、2月7日(日)に日本テレビで「おんな北斎」という番組が放映されていた。わたしも見る機会があったが、自分のブログの展覧会記事やホームページの講演会記事に書いていることがほとんどで、それほど新鮮味はなかったが、番組中に応為の《吉原格子先の図》が太田記念美術館で見られるとの紹介がなされていた。 実は、2月7日(日)の拙ブログへのアクセスがいつもの4倍、2月8日(月)のアクセスが2倍となっていることに気付いていた。大部分がヤフーやグーグルから「葛飾応為」で検索してきたものだった。 前置きが長くなったが、後期も1階はすべて肉筆画。その最後に葛飾応為《吉原格子先の図》↓が出ている。 この画は何回見ても素晴らしい。張見世の内と外の明暗。光と影、遠近法など西洋画技法の影響が見てとれる。テレビの説明では、レンブラントの影響という説明があったが、レンブラント光線が単光源であるのに対し、応為の光と影は複数の光源によるものである。隠し落款(応・為・栄)↓↓のこともテレビで説明していたが、小さい画なので単眼鏡がなければ見にくいだろう。 闇の中の燈籠の光とこれに浮かび上がる桜や女性の陰の表現は独特である。 こういった光と影の明暗法は、明治の小林清親に引き継がれているといっても良いのではないか。 清親の肉筆画《開化之東京 両国橋之図》(→)は典型的な「光線画」である。 橋を渡る人や隅田川の船などの黒いシルエットを提灯・ガス灯・窓の明かりと対比させている。 同じ清親の版画《柳原夜雨》↓もその典型だろう。人力車・車夫・野良犬を包む影と番傘や雨に濡れた地面に反射する提灯の光の対比が見事である。 暗い画ばかりあげていてはブログが暗くなる。明るい美人画を何枚か上げて口直しとしたい。浮世絵の常として、影は描かれていない。 第一は鈴木春信の《二代目瀬川菊之丞図》(←)。この絵師の肉筆画は珍しい。衣裳の赤が目立つ。 次は喜多川歌麿の《美人読玉章図》(→)。玉章(たまずさ)とは手紙のこと。恋文だろう。衣裳は豪華。絽の裾には金糸で銀杏、銀糸で楓の葉。帯も金糸の雲鶴模様。足元には団扇と虫籠。 歌麿といえば、《五人美人愛敬競》が5点と揃って出ていた。この揃い物を5点持っているのは世界で太田記念美術館だけである。↓はそのうちの《冨本いつとみ》。 〇冨本いつとみ↓: 富くじ箱=とみ、藻=も、砥石=と、猪=い、苞=つと、蛇=巳=み 最後にもう一枚。応為の明暗画や清親の「光線画」の強いコントラストに比較すると、広重の夕暮の表現には情緒が感じられる。↓は《木曽海道六拾九次 洗馬》。色彩豊かな空と全体の薄暗い雰囲気が見事に表現されている。こういった情緒は川瀬巴水につながる「夕暮画」~「夕闇画」であり、真っ暗になった夜景を描く光線画とは一線を画している。
by cardiacsurgery
| 2010-02-20 17:26
| 浮世絵
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