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副題は前に「府中市制施行55周年記念」、後ろに「光の中の自然」。19世紀初頭から20世紀初頭のイギリス風景画(水彩画が多い)→フランス印象派→イギリス印象派の流れを、ベリ美術館、マンチェスター市立美術館、マンチェスター大学タブり・ハウス・コレクションならびに個人蔵の合計100点で展観している。
以下、章別にお気に入りをあげていく。 Ⅰ章 純粋風景主題と自然 ・コンスタブル《ハムステッドのブランチ・ヒル・ポンド》: 広々としたロンドン郊外、ハムステッドの景色。はるか地平線まで見える。中景の小さな池がブランチ・ヒル・ポンド。空には嵐雲が迫っている。いかにも「雲のコンスタブル」である。 ・ネイスミス《クラモンド、エディンバラ郊外》: 手前に逆光の樹木。中景に光を浴びる海の入江。明るい空と複雑な雲。オランダ風景画を想起させる。 ・ウィリアム・ヘンリー・ハント《イワヒバリの巣》↓: 「鳥の巣のハント」の傑作。巣の中の青い卵。周りの乾燥した土や苔。バラの花やベリー。水彩で良くここまで描けるものだ。同じ画家の《プラムと桃とヘーゼルナッツ》や《プラム、グリーンゲージ、ブラックベリーとローズヒップ》も素晴らしい出来栄えである。 ・ミレイ《グレン・バーナム》↓: この画は以前にマンチェスター美術館展で見ている。ミレイ一家が晩夏と秋を過ごしていたたスコットランドのバーナム館の借用期限が切れて去らなければならなかった頃の作品。淋しい感じが出ている。 Ⅱ章 海、川、湖、そして岸辺の風景 ・フィールディング《荒天、スコールの来襲》: 強い風を受け、逆巻く波に傾く帆船。ラスキンが称揚した海洋画家の水彩。 ・スタンフィールド《テクセル川河口》: オランダの海岸に打ち寄せる波とそれに抗う船が描かれた海洋画。 ・ワッツ《ネス湖》↓: 霧にかすむネス湖。幻想的ともいえる風景である。有名な《希望》を描いた画家らしいイメージである。 Ⅲ章 旅人 ・ターナー《エーレンブライトスタイン》↓: 背景には山上の城、中景の教会の塔が見え、手前には大きなはしけ、いかだを組んでいる小船が描かれている。その一つにカンバスを広げたターナー自身が描き込まれている。この地はバイロンが《チャイルド・ハロルドの巡礼 第3篇 58節》で言及して以来、有名になっている。その土井晩翠の翻訳は、このpdfの187 ページに載っている。それを画像の下に引用する。 破られし砦・デイヴィッド・ロバーツ《ガラリアのカナ》↓: 旅した風景から描かれた水彩画。カナは婚礼の祝宴でワインを水に変えたというキリストの奇跡が起こった場所。山と雲に囲まれた太陽とその光が見事に再現されている。左の水の流れはワインに変わる水を象徴しているのかも知れない。 Ⅳ章 仕事と風景―人、動物、農耕 ・リネル《小川を渡る》↓: 荷馬車が馬が水を飲む間止まっている。道や崖に当たる光や両側の樹木間の遠景や空が素晴らしい。コンスタブルの影響が見てとれる。 ・ランシア《乱射》↓: 撃たれた母鹿。その乳房を探す仔鹿。雪の上の血痕が生々しい。右奥の光る雪山の存在が唯一の慰めである。 Ⅴ章 人のいる風景 ・エリザベス・アデラ・フォーブス《ジャン、ジャンヌ、ジャネット》↓: 農民の少女、手押し車のハーブや野草を食べるヤギ、そしてその向こうに釣をする少年。タイトルの名前が3人だが、一つはヤギの名前?イギリス印象派の典型的な作品で、戸外で制作されたものある。画家は「ニューリン派」のリーダーであるスタナッブ・フォーブスの妻。 ・ヘンリー・ハーバート・ラ・サング《プラム拾い》: 白い服の女性が草むらに落ちたプラムを拾い、籠に入れている。木漏れ日が斑点として描かれている。典型的な「イギリス印象派」の作品である。 ・ゴッドワード《金魚の池》↓: ポンペイ風のヴィラの中庭で、池のそばに坐る女性。古代の設定となっており、アルマ=タデマの影響を受けている。 Ⅵ章 建物のある風景―建築物と土地の景観図 ・ターナー《タブリ・ハウスー准男爵JFレスター卿の屋敷、風の強い日》↓: レスター卿からの依頼作品。広い庭を含む大きな屋敷の全貌を描きこくため、これらを遠景としている。ターナーはこの作品を描くために近傍に滞在したが、釣ばかりしていたとのことで、舟の中の一番後ろに描かれているのはターナー自身らしいとのこと(朝日新聞2010.2.3夕刊「水曜アート」による)である。手前の波は明るく、その向こうは暗く、さらにその向こうの陸上は明るく、レスター邸は輝いている。 ・ウィリアム・クレイン《ホイットピー修道院》↓: イングランドの中でもっとも感動的な廃墟といわれ、13世紀に遡るものであるが、現在も残っているとのこと。 Ⅶ章 フランスの風景画 ・ピサロ《ルーヴシェンヌの村道》↓: 英国のコレクターに買われた最初のフランス印象派絵画。シスレーは同じ景観を《ルーヴシェンヌの初雪》で描いている。 府中市美術館の常設展はいつも立派である。今回のお気に入りは、カバネル《エステル女王》と高島野十郎《霧と煙のニューヨーク》。 美術散歩 管理人 とら (参考:今まで見た英国風景画展の記事) ・英国風景画展: 伊勢丹美術館 ・珠玉の英国絵画展ーマンチェスター美術館: 三越美術館 ・イギリス絵画の350年 ヴィクトリア・アルバート美術館展: 大丸ミュージアム ・テートギャラリー所蔵ターナー展: 横浜美術館 ・英国絵画の殿堂テート・ギャラリー展: 東京都美術展 ・ラファエル前派展: 安田東郷青児美術館 ・都市のフランス 自然のイギリス: 千葉市美術館 ・ジョン・エヴァレット・ミレイ展: BUNKAMURA
by cardiacsurgery
| 2010-02-06 10:32
| 国外アート
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