日本の”美術”の愛し方 ＠徳川美術館

　徳川美術館で素晴らしい企画展示が開かれていた。タイトルは「日本の”美術”の愛し方」。青磁、水、遊楽図屏風、動物の４つがテーマとなっている。展示リストはこちら。１．青磁玩賞：　台湾訪問以来、青磁に凝っている。特にその色調と貫入の具合で、自分なりに好き嫌いがハッキリするようになってきた。お気に入りをいくつかあげる。
　《青磁袴腰香炉》↓・・・龍泉窯の砧青磁。美しく澄んだ半透明感がある。気泡のためだという。

　《青磁算木形花生》↓左・・・龍泉窯の青磁花生。翡翠色の名品。
　《青磁鯱耳花生》↓右・・・龍泉窯の花生。耳の形が面白いが、斜めの貫入も良い。
　《青磁香炉　銘　千鳥》↓・・・全体に大貫入のある龍泉窯の砧青磁。石川五右衛門が忍び込んだ時にこの千鳥が鳴いたため捕えられたとの伝説の品。ただし青磁の発色は《青磁千鳥形香炉　銘　白菊》のほうが良かった。２．うつろう水を表す：　応挙の《鯉亀図風炉先屏風》がとても良かった。↓は右側の半分だけ。３．近世日本人の「自画像」：　ここでも応挙の《華洛四季遊楽図巻》の一部↓が出ていたが、こういった風俗画も巧い。水中の子供たちが花火で遊んでいるところが面白かった。　しかし今回の展覧会の華はなんといっても《遊楽図屏風（相応寺屏風）》である。戸外の遊楽図が邸内の遊楽図へと変化していくことを示す美術史上重要な屏風である。このことを聞いた講演会のメモはこちら。そこで単眼鏡でジックリとながめ、一つ一つのシーンを楽しんだ。右隻は戸外遊楽図↓。輪になった踊り↓↓が見られる。　左隻は邸内遊楽図↓。良く遊び、良く学び↓↓、風呂にも入っている↓↓↓。サントリーのKAZARI展で見た《邸内遊楽図屏風》は女性の入浴図だったが、今回は男性の入浴図。４．動物へのまなざし：ここでは森祖仙の猿やポスターの象↑などの逸品がめいっぱい出ていた。ここのコレクションは恐ろしい。

蓬左文庫の展示（リストはこちら）は、七夕と近代の詩歌。楊州周延の七夕の浮世絵《千代田之大奥》↓が良かった。常設展示の武器、茶の湯、書院飾り、能、奥道具も一通り見てから、やっとランチにした。東京を出てから5時間飲まず喰わずだった。夕方から会議→会食→二次会だからこれでよいのだろう。

美術散歩　管理人　とら