日本の美術館名品展（前期・2回目ー西洋美術） ＠東京都美術館

　この展覧会は4月26日（日）に見に行ったが、多種多様な作品が並んでいて驚いた。その時の記事はこちらだが、全体をさっと見ただけだったので作品自体のことはあまり書いていない。

　このため連休の5月5日に家内と一緒に再訪した。それから大分時間が経って、昨日から後期が始まっている。そこでここでは再訪の感想をまとめておきたい。とくにキャプションに出ていたその美術館の学芸員の生の声をジックリと読んできたので、そのことについても触れることとする。

１　西洋絵画、彫刻
■　ドーミエ《ドン・キホーテとシャンチョ・パンサ》　伊丹市美。　ドーミエはドン・キホーテを沢山描いているが、この画は霧に包まれたようで抒情的。油彩だが褐色のみなのでとても落ちついている。
■　クールベ《嵐の海》　山梨県美。有名なエトルタの海。嵐の海に翻弄される2艘の船が印象的である。波だけの画にくらべ一段上。
■　ピサロ《エラニーの菜園》　福島県美。美術館の人気者と書いてあった。なるほど。
■　モネ《ポール＝ド・モアの洞窟》　茨城県近美。悪天候の中、イーゼルを縛り付けて描いたとなっていたが、出品作は好天気。
■　セザンヌ《水の反映》↓　愛媛近美。素晴らしい画。本展でのAクラスは間違いない。海外への出展3回は納得！■　シニャック《サン・トロペの松林》↓　宮崎県美。奇麗な点描。この美術館の人気者の由。当然である。■　ルドン《ペガサスにのるミューズ》　群馬県美。1913年のアモリー・ショでは100万ドルの値が付いたとのこと。確かに構図や色の配置は素晴らしいが、ルドンには似たような画が沢山ある。
■　アンソール《キリストの誘惑》↓　伊丹市美。この画は絶対のお気に入り。悪魔がキリストの首をつかんでいる。空には三日月が見えるが、太陽の光が燦々とふりそそぎ、街や海にも光があふれている。明るい点描である。
■　ボナール《画家の妹》　愛媛県美。これについては前回の記事に書いた。
■　ドニ《なでしこを持つ若い女》　岐阜県美。ナビ派あるが、これは点描。
■　ドラン《マルティーグ》　島根県美。青とオレンジの対照が美しい。セザンヌ風の画。
■　シーレ《カール･グリュンワルトの肖像》　豊田市美。モデルは従軍中に上官であった美術商。国内には珍しいシーレだが、唇が赤いのがいやらしい。足がなくオバケのよう。椅子がボンヤリと描かれているのも不思議。
■　ピカソ《青い肩かけの女》　愛知県美。東海銀行寄託。「青の時代」の作品は国内には少ないのではなかろうか。
■　ピカソ《ドラ・マールの肖像》　徳島近美。奇麗な多視点像。1986年の購入時、「オバケのようだ」と批判されたとのこと。
■　キスリング《オランダの娘》　北海道近美。色彩に惚れる。
■　ルオー《道化師》　北九州市美。落ち着いた画。
■　ピカビア《アンフィトリテ》　広島県美。　ポセイドンの妻。ポセイドンの顔や手が二重写しのように描かれている。
■　エルンスト《森》　岡崎市美。木をフロッタージュ技法で転写したシュルリアリスム絵画。
■　ミロ《ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子》　福岡市美。1978年に最高額で購入。そのときミロは「これでみんなのものになった」といったとか。地下鉄駅のパブリックアートにもなっている。
■　ダリ《パッラディオのタリア柱廊》　三重県美。2004年のアメリカ・イタリアでの回顧展に出品したとのこと。
■　デルヴォー《海は近い》　姫路市美。不思議なエロスを描いている。描き直された作品とのこと。
■　シャーン《スイミングプール》　福島県美。個人的な好みの画家。
■　クライン《人体そくていANT66》　いわき市美。もっとも貸し出しの多い作品とのこと。IKBがなんともいえない。
■　フォンターナ《空間概念》　豊田市美。いつもの切り込みよりも暴力的でエロチックである。
■　ホックニー《スプリンクラー》　現美。ここにはこの画家の版画が多いらしい。1966年に個展をひらいたとのこと。
■　レームブルック《立ち上がる青年》　愛知県美。表現主義的な背の高い青年裸像。
■　ポンポン《シロクマ》↓　館林美。家内のお気に入り、ナンバー･ワン。■　ブランクーシ《空間の鳥》　滋賀近美。大きくてスッキリしている。

２．日本近・現代洋画、日本画、版画、彫刻・・・・・長くなったので別記事とします。

美術散歩　管理人　とら