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全国を巡回している個人コレクション展である。タイトルは「幼形成熟」のことで、「性的には成熟しているが、脳や体は幼いままである」ということ。アニメ、漫画、ゲームなどは「ネオテニー文化」とよばれるが、日本の現代美術はこれらにに率いられているということなのだろう。
![]() Ⅰ-1 鴻池朋子:会場に入ると、小さな鏡面を張りつけた狼が迎えてくれた。隣のパネル《Knifer Life》に描かれたナイフが、奥に設置されたDVD《minimo-Odyssey》で活躍する。あまりビデオアートが好きでないわたしも、ナイフに乗ったミツバチや可愛いキャラクターの後に従う狼、そして大きな少女の顔などに魅了され、11分30秒の時間を忘れて楽しんだ。 Ⅰ-2 名和晃平:[パラレルワールド 08.08]でこの作者の作品に圧倒された。今回はPixCellシリーズ《PixCell-Shoe#4(R)》‐靴、《PixCell-Gazelle#2》‐カモシカ(チラシ2)、《PixCell-Trumpet2》‐トランペット。アクリルビーズが宝石のように輝く。トランペットの中を覗き込んでみた。 ![]() Ⅰ-4 小沢剛:ユーモアたっぷりの写真が面白かった。《ベジタブル・ウェポン-ナン・プリ / チェンマイ・タイ》は、若い女性がキュウリのような野菜をマシーンガンのように構えている。チェンマイに行ったことがあるが、まさにこの雰囲気だった。 Ⅰ-5 村上隆:天井から有名な風船《Mr. DOB》(チラシ6)がぶら下がっている。ちょっと離れたところに《ポリリズム》-黄色の背景の大勢のアメリカ兵士、《ポリリズム 赤》-赤の背景に5人のアメリカ兵士。これは印象的。 Ⅰ-6 会田誠:この作家は[会田誠・山口晃展 07.05]、[MOT 07.08]、[ポップ道 07.12]で見ている。《紐育空爆之図》(チラシ3)と《大山椒魚》は[会田誠・山口晃展]で見ているが、これこのコレクションに入っていることに驚いた。好きではないが、気になる画たちである。 Ⅰ-7 山口晃:この画家は[木村直道 06.01]、[ラグランジュポイント 06.12」、「会田誠・山口晃展 07.05]、[山口晃展 07.08]などで沢山見てきた。今回は《今様遊楽図》をジックリ見て楽しんだが、下絵の精密さに驚嘆した。これだけの画を描くのはただことではないのだということが良く分かった。《當世おばか合戦-おばか軍本陣図》もウルトラC。《頼朝像図版写し》は[山口晃展]で見たが、これもこのコレクションにあったのだ。 Ⅰ-8 岡本一太郎・三太郎:《無題(尾形光琳)》は「紅梅白梅図」の醤油画。ギトギトした琳派がスッキリとした作品に変貌している。この屏風の陰に、須田悦弘の《雑草》が隠れていた。 Ⅰ-9 天明屋尚:《ネオ千手観音》(チラシ7)は手にナイフ・ピストル・マシーンガンなどを持っている。あまり知恵がないといったら怒られるかな。 Ⅰ-10 町田久美:[Kumi Machida 08.08]でこの作者の作品を大分見ている。《訪問者》はその時に見たが、これもこのコレクションのものだったのだ。《マルキ・ド・サド原作/澁澤龍彦訳『淫蕩学校』挿絵》のエロ・グロの表現が面白かった。 Ⅰ-11 池田学:シュールな《興亡史》が凄い。ものすごく細かい描写が大きな表現と共存している。隣に掛けてあった《領域》では、水面の上の状景と下の状景がたくみに配置されている。とても巧い画家である。 Ⅰ-12 佐伯洋江:[線の迷宮 07.08]や[アーティストファイル 08.03]で見てきた作家の作品なので安心できる。《untitled》の一番右に描かれた小さな馬がカワイイ。 Ⅰ-13 小川信治:[線の迷宮 07.08]で見た一人欠けている《最後の晩餐》やフェルメールのヴァージナルの前に坐る女が欠けている《WITHOUT YOU-Lady Seated at a Virginal》はちょっと小ざかしい作品。 Ⅰ-14・G: 秋山さやか:《ベルリンをあるく2006年6月1日‐16日》(チラシ5)は、和紙にいろいろな素材を張りつけたり刺繍したりしたとても愛らしい16連作。説明が青いペンで直接壁に書かれているところがユニーク。ドイツ語の説明も達者だが、「ドイツ語で話しかけられて困った」ということも書かれていたのは?である。 (2階) Ⅱ-1 加藤美佳:[MOT 07.08]、[MOT 08.08]でこの作家の作品は見ている。今回の《パンジーズ》(チラシ4)はイヌの頭蓋骨に頬寄せる人形の少女。楕円形のキャンバスに描かれている。これが油彩とは信じられない。 Ⅱ-2 池田光弘:《Untitled》が2点。シュールな油彩だったようだ。この辺から集中力が低下してきたらしい。現代絵画を見るにはエネルギーを必要とする。 Ⅱ-3 千葉正也:《平和な村》は平凡な油彩だったような気がする。 Ⅱ-4 村瀬恭子:《Light in the Forest》が2点。 Ⅱ-5 工藤麻紀子:《もうすぐ衣替え》。 Ⅱ-6 小林孝亘:[MOT 08.08]でも見ているが、大きくてゆったりとした作品である。《Dog》と《Sunbather》。どちらもとても良かった。 Ⅱ-7 伊藤存:《よだれのきらめき》はピンクの地に刺繍でヨダレを垂らす犬が縫いこまれていた。大きい作品で印象的である。 Ⅱ-8 青山悟:繊細な刺繍が3点出ていた。大変な努力作である。 Ⅱ-9 照屋勇賢:紙袋で作った箱に樹の形の穴を空けただけ。 Ⅱ-10・Ⅰ-8’ 須田悦弘:[屋上庭園]などで何回も見ている作家。今回は、1階の屏風の後ろに隠れていた《雑草》に続いて、2階には《泰山木一実》が出ていたが、こちらはあまり感心しない。 Ⅱ-11 村山留里子:ガラス・ビーズなどで作られた派手なドレスたち。 Ⅱ-12 さわひらき:[アーティストファイル 08.03]で見たが、今回はビデオが2本。《elsewhere》では台所などの室内の物体に足がはえて動き回っていた。《spotter》では、大きな飛行機・小さな世界と小さな飛行機・大きな世界といった大小関係が絶えず変わっていた。 (中2階)ここからゆるい階段を降りて中2階のようなフロアにでる。 Ⅱ-13 小谷元彦: ポスターになっている狼。作品のタイトルは《Human lesson(Dress01)》。狼の毛皮を着込んだ女性。はっきりいって気持ち悪い。その一部がチケットやポスターになっているのだった!!! Ⅱ-14 できやよい:パネル《Untitled》と5体のマネキン《みみちん》はなかなか良かった。 Ⅱ-15 束芋:小部屋を占領。ドローイングが巧いが、それを下敷きにした動画を見せる仕掛けが面白い。三角形の建物の二辺の障子の間から、建物内のスクリーンに写る動画を見るようになっている。題して《にっぽんのちっちゃい台所》。この動画が大傑作。台所の窓の向こうを屋上から身投げした男が落ちていく! Ⅱ-16 加藤泉:オバケが7点。何を作ろうと自由だが・・・。 (ギャラリー) G・Ⅱ-17 西尾康之:ギャラリーの外にはみ出すように展示された異形の兵士。名付けて《素粒の鎧》。 G 高嶺格:《Muted Space》は、鏡を張り巡らした多面体の暗室。鏡には白く何か描いてあるようだが、目立つのは沢山の自分自身の姿。大分疲れている。思わず胸をはってみたが・・・。 G Mr.:奇麗なアート。タイトルは《ブラジリアン柔術クリスマス》と《ドイツ人かもしれない》。 G 三宅信太郎:人形4体。子供が喜びそう。 こうやって見てくると、最近のわが国の現代美術はなかなか元気である。これは日本だけではなく、アジアの現代美術全体にいえることである。ごく最近の世界的な経済不況がアジアの現代美術に致命的な打撃を与えないことを祈りたい。 ところで、ネオテニー文化とは進化した文化なのだろうか。環境ホルモンの増加にともなう人類の変質に基づいて、文化に退行現象が起ってきているでなければ良いのだが。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2009-05-29 21:23
| 現代アート(国内)
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