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クレーが東洋絵画に興味を持っていたということを仔細に研究した奥田修氏の監修による展覧会。しかし、これは展覧会というより、むしろ学術発表会である。
![]() 自分の硬くなった脳みそをこの展覧会に合わせていくのはちょっと大変であったが、幸いにキャプションの説明が微に入り、細にわたっているので、なんとかフォローした。もちろん結構時間がかかる。 入ってすぐのところに《無題(二匹の魚、一匹は釣針にかかって)》という水彩があった。確かにこれは浮世絵的である。千葉市美術館だから、それらしき江戸時代の画を並べるのは容易である。 クレーのデッサン《片足で踊る三人の裸の人物》の一人は、《北斎漫画 八編》の踊っている男を見て書いたのではないかとのこと。完全なコピーではないが、これはクレーが鵜呑みにしないで、オリジナリティを加えたと説明されればなるほどそうかと思う。 ![]() クレーのチョーク画《怒る女の仮面》は、浮世絵の役者に似ているとのこと。そういわれれば否定する根拠がないので、「これも勉強・・・」と一応納得する。 驚いたのは、この時代に日本美術や東洋美術の本がドイツ語で沢山出版されており、実際にこれらをクレーが所蔵していたということである。 この辺までは、クレーが線描画家であったので、それで良いとして、1914年のチュニジア旅行後の色彩画家としてのクレーには当てはまらない。 しかしここではクレーが「中国のイメージ」を描きこんだ画が多いということが主張されている。その証拠として、《中国の・・・》がというタイトルの画がいくつか出ていたが、それらの「中国のイメージ」は多様なものだった。↓は《中国風の絵》だが、クレーにとってはこういう画が中国的なのである。 ![]() 「詩画図」など文字と画を一体としたアートは東洋画に特異なものであるが、クレーをこれを自分の画に取り入れて「文字画」を描いている。いくつかその例が展示されていたが、クレーの画は形態としての「字」を入れただけで、意味のある「詩」を入れたわけではない。その意味では、両者は本質的に違うものなのであろう。 一番東洋的だと思ったのは、最後に展示されていた《別れを告げて》(←画像)である。まるで墨絵の禅画のようである。そういえば、ポスターの《蛾の踊り》の黒が油彩転写された蛾も東洋的であるといえるかもしれない。 意欲的な展覧会であることには間違いない。ただし、クレーが日本に興味を持ったのは川上音二郎・貞奴の舞台を見て強い印象を受けたからだとか、クレーの興味が日本から中国に移ったのは日本が戦争を始めて西洋化したからだとかいう論理は多少強引な気がした。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2009-05-22 20:07
| 現代アート(国外)
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