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福岡に数日滞在することになった。暇を見ては美術館めぐりをしているのだが、今回の福岡美術散歩は、私にとっては不作である。
福岡県立博物館の「三井寺展」や福岡市立美術館の「レオナール・フジタ展」は、それぞれサントリー美術館・宇都宮美術館で見てしまっているからである。福岡県立美術館や九州国立博物館でもめぼしい企画展をやっていない。 というわけで、福岡アジア美術館が希望の星だった。常設展や特集企画「アジアの中のアメリカ」・「はたらきたい!」には心惹かれたが、特別展の「白洲次郎と正子の世界展」はこの美術館にはミスマッチのような気がした。しかし時間つぶしのため出かけてみた。 この展覧会のサブタイトルは「風の男と韋駄天夫人の物語」。戦後の混乱の中、GHQとの折衝に臨み、米軍に「従順ならざる唯一の日本人」といわれた白洲次郎とその妻であり、能、骨董、かくれ里をめぐる旅で世に知られる随筆家・白洲正子の二人展である。 そういえば、NHKの特集番組や各地の展覧会でこの夫妻は最近話題になっていた。しかし、入場料1300円というのは高すぎるのではないか。帰ってからネットで調べると、今年1月のそごう美術館では1000円、1-2月の神戸大丸では800円である。入場料にこれほど差のあるのはいかなるわけなのだろうか。 兵庫の名家の出身である次郎は、身長180cmを超す日本人離れした風貌で、ケンブリッジ大学留学を通して英語力を身に付けた。日本で初めてジーンズをはいた人物としても知られ、愛用のブランドは、ダンヒル、ローレックス、ヘンリー・プール、ターンブル&アッサー、ルイ・ヴィトン、イッセイ・ミヤケ、エルメスにまで及んでいる。いわゆる鼻持ちならないスノッブであるともいえる。 戦後は、吉田茂の側近としてGHQとの折衝に当たり、憲法制定の交渉や、講和条約の発効などの実務を行った。その後は、東北電力会長や日本テレビ等の役員や顧問を務めるのだから恵まれた人生である。 展覧会で注目したのは、次郎関係では、洋間の大津絵、マッカーサーに贈った椅子、ヴィトンのトランク、ヘンリー・ヒーのシルクハットぐらい。でも遺言書↓はユニークである。 女性で初めて女人禁制の能舞台に立ち、河上徹太郎、小林秀雄、青山二郎、細川護立ら、昭和を代表する文化人との交流を通じて文学、古典、古美術の世界に傾倒し、随筆を書き、また銀座で染織工芸店を経営した趣味人でもあった。 「詠草」の「四天王にふまれたる邪鬼」は面白かった。『邪鬼は悲しく この又先の幾世をば 伏しつ踏まれつ まろび生くらむ』となっており、「生」の字の横に「行」という字が添えられていた。字は金釘流で憎めない。 激しい格差社会の上位を生きることができた夫妻の遺物を、高い入場料を払って見ている自分がおかしかった。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2009-04-06 18:49
| 国内アート
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