大宰府美術散歩ー九州国立博物館 平常展 ＠文化交流展示室

　前回「天神展」に来たときには、飛行機の時間に追われて、平常展のほうは駈足になってしまった。今回は、それを補うべく、3時間滞在してジックリと鑑賞した。 まず全体のアウトラインをつかむため、ボランティア・ガイド　安達邦男氏に案内をお願いした。８０歳という年齢にかかわらず矍鑠としておられる。

Ⅰ．旧石器時代ー縄文時代
○　網カゴ（久留米市・正福寺遺跡出土）・・・青森の縄文ポシェットを思い出した。
○　金銅壺鐙・金銅透彫冠・緑瑠璃丸玉（福岡県福津市・宮地嶽古墳出土）・・・凄い遺跡があることを知った。
○　阿蘇の埋れ木・・・９万年前に焼けた木が残っている！
○　土偶・・・西の土偶は、東の土偶より小さいが、妊娠した女性のイメージである点は同じ。

Ⅱ．弥生時代ー古墳時代
○　伊都国の王の副葬品・・・朱入りの壷、銅矛。
○　須恵器大甕（沖ノ島第五号祭祀遺跡出土）・・・後で、シアター４０００で、「海の正倉院ー沖ノ島」を見た。
○　「竟」刻書甕棺（福岡県前原市・三雲遺跡出土）・・・竟（かがみ）という字が横向きに彫られている。単眼鏡で確認。

Ⅲ．古代：奈良ー平安時代
○　百済観音　（再現文化財）・・・大英美術館の依頼により、1930-32年に作成されたもののコピー。
○　阿修羅像　（再現文化財）・・・奈良国博所蔵。1981-85年に作成されたもの。鮮やかな朱と緑の色彩が目を奪う。九州に来る前日に、東博の「阿修羅展」初日を見てきたので特に印象深い。○　木造観音菩薩立像・・・平安時代・９世紀。もとは十一面観音だったらしい。河崎観音とも呼ばれるもので、京都の感応寺ゆかりの仏像。とても美しい。
○　木造阿弥陀如来立像・・・観世音寺から借りている。金堂にあったもののようである。これもナカナカ良い。

Ⅳ．中世：鎌倉ー室町時代
○　多宝千仏石幢（たほうせんぶつせきとう）・・・中国　遼時代・１０８４年、如来・菩薩・飛天などが全面に刻まれた石灰岩の塔。○　鷹島海底遺跡・・・弘安の役の沈没船。ヘルメットの他、貨幣や櫛なども出てきた。日本を征服する積りだったらしい。
○　大刀・・・刀と違い、刃は下に向けて飾る。
○　高麗の銅鐘・・・低い位置に吊るし、地面の穴で反響させた音を鐘の上の管から外に出す。
○　狩野正信《周茂叔愛蓮図》・・・国宝。室町時代・１５世紀Ⅴ．近世：安土桃山ー江戸時代
○　色絵藤棚文大皿・・・鍋島、１７世紀。これは最高！
○　崇福寺の模型・・・１６４６年
○　媽祖・・・航海の安全を祈った「千里眼」や「順風耳」

　安達氏と別れて、自由に観た。

１．アジアの民俗造形
○　籃胎黒漆加彩本生譚文食籠・・・２００５年。驚嘆！２．アジアの工芸
○　緑釉鳳凰文水注・・・美しいベトナム陶磁。画像は会場入口のポスター参照↑。

３．シアター４０００
○　海の正倉院・・・沖ノ島
○　世界をとらえた日本の技と美

４．バーチャル・シアター
○　石金甲古墳・・・浮彫から彩色へ
○　王塚古墳・・・謎を秘めた色彩壁画の解明

５．屏風の輝き：　金色に光る派手な屏風。
○　「扇面画帖」・・・室町時代・１６世紀
○　「化物図巻」・・・狩野宗信筆、江戸時代・１８世紀。①深夜うとうとする主人・山伏姿の化け狸・山水画屏風、②蚊帳の中の老夫婦・女装した化け狸・花鳥画屏風。
○　「鹿・ほととぎす図屏風」・・・狩野重信筆、江戸時代・１７世紀。大画面。○　「大原御幸図屏風」・・・江戸時代・１７世紀、文化庁 ○　「物語図屏風」・・・伝俵屋宗達筆、江戸時代・１７世紀、個人蔵。西行法師の物語。
○　「農耕図屏風」・・・江戸時代・１７世紀、個人蔵
○　「韃靼人狩猟図屏風」・・・式部輝忠筆、室町時代・１６世紀、文化庁。金泥による柔らかな雲。

美術散歩　管理人　とら