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昨日、世田谷美術館でチラシをみつけ、その日から始まっていることを知った展覧会。あわてて第2日に出かけた。会場では、知り合いの美術出版社のYさんやブロガーのEさんにも逢った。皆さん、会期早々に来ておられる。
展覧会自体が「山水への旅」として構成されている。観客は、「山水探検隊」というクイズ・パンフレットを手に持って、展示空間を旅するようになっているのである。 1.山水に暮らす 「自然とともに在る」 ○与謝蕪村《渓流漁舟図》・・・穏やかで美しい色彩は、この展覧会のアペリティーフ。 ○熊谷直彦《騰竜隠雲之図》↓・・・竜巻に巻き上げられて宙に舞う傘。崩壊した家屋。双幅を連続した駒として使用している。 「神の国のすがた」 ○小泉斐《男体山伝説図》・・・書物を読んでいるうちにうたた寝してしまった人物が見た夢。海から山へと竜が昇って雲を巻き起こし、一人の男が頂上に向かって男体山を登っていく。後者は、単眼鏡がなければ見逃してしまう。 ○岸駒《芙蓉峰図》・・・虎の岸駒が描いた雄大な富士山。岸駒が仕えた有栖川宮幟仁親王の賛がついている。 ○小泉斐《富岳写真》・・・実際の富士登山の実証記録。山中に小さく描き込まれた登山者は、うっかりすると見逃す。 2.絵をつくること 「中世の残像」 ○狩野山雪《富士三保松原図屏風》・・・山雪にしては大人しくて、女性的。《老梅図》を描いた画家と同一人物の作とは信じがたいほどである。 ○原在中《富士三保松原図》・・・大きな広がりを持つ水平線が心地よい。感覚は古いが、これは名画である。 「実景と絵すがた」 ○高久靄厓《袋田滝真景図》・・・四段に分かれて落ちる袋田の滝。紅葉の赤と緑の対照も美しい。 ○平井顕斎《白糸瀑布真景図》・・・まるでナイヤガラ瀑布の上に、突然、富士山が現れたような意表をつく構図。 ○淵上旭江《天橋立真景図屏風》・・・一直線に伸び、画面を斜めに横切るいさぎよい砂州の緊張感がなんともいえない。同じ画家の《真景図帖》も良かった。出ていたのは、中四国・九州版であるが、東海道版は千葉市美術館で見たことがある。 3.奇のかたち ○曾我蕭白《山水図押絵貼屏風》・・・荒唐無稽の蕭白とは明らかに一線を画す穏やかな絵が並んでいる。前に椅子が置いてあるので、坐ってジックリと眺めたい。良く見ると、力強い輪郭線、点描、刷毛目など超絶的な技巧に感嘆させられる。拡大画像はここ。 ○曾我蕭白《松鶴山水図》↓・・・前景の岩の上に重なりあって立つ二羽の鶴。嘴を天空に向けデュエット。そして逆巻く波。中景には松の聳える岩に建つ建物とそこへ向う二人の人物。遠景には霞む山々と列をなして飛ぶ4羽の鶴。巧みな筆捌きは絶賛もの。 4.ロマンティシズムの風景 「物語る山水」 ○山本探川《宇津の山図屏風》・・・人を描かずして伊勢物語を髣髴とさせる山道。これをとりかこむ緑の山々が画面いっぱいに描かれている。伝統の琳派の美である。 「体感する自然、見霽かす心地」 ○宗仙《波に鴛鴦・白鷺図屏風》・・・横長の八曲一隻の屏風。ダイナミックな波に漂う五羽の鴛鴦とそこだけ退色していない胡粉で描かれた白鷺。宗達の画を思わせるおおらかな作品である。 「憧憬」 ○司馬江漢《西洋風景人物図屏風》・・・面白い洋風画屏風。想像の西洋の情景を描いたこの画家の心情にこころ打たれる。 ○土井有隣《西洋海浜風俗図屏風》・・・ヴェルネの銅版画を水墨画にしてしまった作品であるが、素晴らしい技巧である。こういった革新的技法が維新を越えて伝わらなかったのはまことに残念である。 ○伊藤若冲《石峰寺図》↓・・・オオトリは若冲の大傑作。これを最後に持ってくるところがニクイ。作品番号もちょうど100番となっている。白い僧衣を着た羅漢が無数に描かれている。ちょっとみると米国のKKKのようで不気味であるが、良くみると憎めない顔がついている。不思議な形の仁王門の向こうには仏の世界。仏像や塔頭が置かれた島々を橋でつないでいる。池を獅子や象、亀に乗って渡る羅漢たち。見ているだけで時間がどんどんたっていく。これは必見の一枚である。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2009-03-21 23:30
| 江戸絵画(浮世絵以外)
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