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なかなか面白い組み合せの展覧会。早速2日目に行ってきた。
<小杉放菴の生涯> 第1章 洋画家・未醒時代 小杉は本名を国太郎といい、1881年に日光で生まれ、日光在住の洋画家・五百城文哉に学んだ。(五百城文哉展の記事はこちら) 会場には、五百城と小杉の《日光東照宮》が並んで展示されている。 上京して小山正太郎の不同舎に入塾。未醒と号し、30歳で、正確な描写と日本的な味わいを持った油彩画「水郷」が文展で最高賞を獲得し、豪放磊落な洋画家として一躍有名になった。 「水郷」での受賞の2年後にヨーロッパへと渡り、ほぼ1年間、本場の油絵を学び、シャバンヌの影響も受けた。今回の展示には《スペイン風景》や《スペイングラナダ娘》が出ているが、いまひとつパッとしない。むしろヨーロッパで見た池大雅の《便宜帖》に衝撃を受けて、東洋画へと向かっていったとのことである。 帰国後の東洋的な油彩画では、1914年頃の作品《湖畔》が良かった。1930年の油彩の《自画像》はあまりぞっとしない。 第2章 日本画家・放菴時代 日本画家に転向したここでのお気に入りは、機を織る女性を描いた《初秋》、柿を盗む子供たちにかまわず読書に励む高士を描いた《江村秋意》、孫をモデルにした《金時》など。この頃の放菴の人物画は、素朴で庶民的な作風となっている。 池大雅の「岳陽楼大観図」を思わせる俯瞰図法の《洞庭秋月》は素晴らしい。南面に向かって座る観音の象徴である奇岩を描いた《南枝早春》も面白かった。 《芭蕉翁・良寛和尚》↓は、まるで禅画のよう。良寛の有名な短歌「かすみ立つ長き春日を子供らと手まりつきつつ今日もくらさむ」が書き込まれている。 1925年の《湧泉》は東大安田講堂の壁画の下絵。シャバンヌの影響が見てとれる。安田講堂の《湧泉》や《採果》は何回も見る機会があった。 1947年の《大宰府大伴旅人讃酒像》は、放菴の力作である。 1951年の《天のうずめの命》↓は、当時の日本最大のタンカー「日章丸」のための油彩で、モデルは笠置シズ子。戦後復興期の日本の象徴であったこの歌手の「東京ブギウギ」が聞こえて気そうである。 第4章 運命的な出会い ある時、放菴は大観に無礼な言葉を投げつけたが、大観は怒らず、次の日に飲みに来るようにといって、二人の交流が始まったという。これには、このころの大観は画法に迷いがあり、西洋画を参考にしたかったという事情もあったようである。 大正2年、大観は放菴に誘われて、日本画・洋画の区別なく研究する「絵画自由研究所」の構想を立て、この構想が再興日本美術院の創設へと繫がっていく。 この章でのお気に入りは、放菴が水郷を描いた《神詣》や大観・観山・紫紅・放菴の《東海道五十三次》などである。 第5章 響きあう技 「片ぼかし」というテクニックがこの時代の二人に共通しており、大観の《荒川絵巻 長瀞の巻》や《月下逍遥》、放菴の《帰院》・《秋色山水長巻》・《牧童》などはしみじみとした画である。 <響きあう心> 第6章 東洋思想への憧れ ここでは、放菴が中国の高士を描いた《釣秋》、たおやかな中国の《白衣美人》、二人の孫を書き込んだ団扇絵《寒山拾得》が印象的だった。 第7章 出関老子 放菴の《金太郎》↓は、親が作った鉞を持つ孫をモデルにしたもので、水彩とのことであるが、なかなか良い。 周から函谷関を牛にのって越えていく《老子》、綱を離してもそのことに気付かぬ牛と老人を描いた《田父酔帰》、石を打って羊に変えた《黄初平》など放菴の筆は冴えている。 《古事記八題》では天の岩戸を開ける手力男命、《西遊記絵詞》では孫悟空の分身の法、《西遊十題》では月宮の白兎を打つところが開かれていて楽しめた。 放菴の画・大観の書のコラボ作品が3点出ていた。《鎮西画冊》・《山水十二趣》・《後赤壁賦》である。大観は書はゆったりとしていて巧い。 第9章 麻紙の放菴・放菴の麻紙 福井の紙漉き職人「岩野平三郎」が大正4年に古代中国で使われた麻紙(まし)の作成法を発見した。これを使って放菴は素晴らしい筆触の墨絵や淡彩を描いている。このなかの一番のお気に入りは《竹》。 国内で最大の放菴コレクションを有する出光美術館が、大観との関わりという視点から構成した面白い展覧会だった。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2009-02-22 22:41
| 国内アート
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