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川村記念美術館にはロスコルームがあり、有名なシーグラム壁画が7点も掛かっているが、部屋全体が暗くてあまり好きになれなかった。今回は世界のシーグラム絵画が、ワシントンから5点、ロンドンから3点が来て、川村の7点とあわせ、合計15点が一室に展示されていると知って、初日に見に行った。
常設展の日本美術室には、清方《四季美人》、等伯《烏鷺図屏風》、又造《鶴舞》、光琳《柳に水鳥図屏風》がでており、マグリット、ジョセフ・コーネル、フランク・ステラ、エンツォ・クキなどの作品にみるべきものが多いのだが、すっ飛ばして、ロスコの企画展示室に飛び込む。 ![]() 1.ロスコ概説: ロシア系ユダヤ人。音楽に興味を持っていた。大学を中退しニューヨークへ移る。1945年ごろ、それまでの具象画から抽象画に変わる。この抽象画は、色面がキャンバスに置かれるものである。 企画展示室に入ってすぐの画は、1958年の作品でシーグラム以前のものである。赤のバックの上方に黒の矩形、下方には朱の矩形が配置されている。 今回の展覧会も、ロスコの希望にあわせて150ルクス程度まで明るさを落としている。通常の油彩では250ルクスぐらいが普通であるから、大分暗い。 ロスコのもう一つの希望は、他の画家の作品と一緒に展示されることを嫌うことであり、さらに1961年にロスコ自身が指揮した彼の回顧展では、非常に低い位置に作品を展示している。 ロスコの場合、最初は明るい色彩も使っていたが、彼は色彩よりもプロポーションが重要であると考えて、装飾的になりかねない明るい色彩を使用しなくなった。その後に使われる色は、主として黒・赤・茶などである。このようにして見る人の心の奥に届くような画を描こうとしたのである。 2.シーグラム壁画の物語: 1958年、54歳のロスコは、ニューヨーク東5丁目のシーグラム・ビルのレストラン「フォーシ-ズンズ」に壁画を依頼され、喜んで30枚の油彩を描いた。この部屋には、その頃の水彩が展示されていたが、赤褐色・オレンジ・黒の窓枠や扉な形の画である。しかし、ロスコはこのレストランの雰囲気が気に入らないため、契約を解除してしまった。 このシーグラム壁画の一部がテートに納まるまでのやり取りについて、16通の書簡が展示されていたが、これはギャラリー・トークの前に読んでおいたので、十分に理解できた。以下にその概要を紹介する。 1965年、テート館長のNorman Reid(リード)とRothkoの間で、テートにロスコの専用室を作る相談を始めた。ロスコのしっかりとした手書きの手紙が残っている。1966年夏にロスコは訪英したが、かけちがってリード館長に会えなかったので、次のような激しいタイプした手紙を送っている。しかし、これらの作品がロンドンに到着した1970年2月25日にロスコは腕を切って自殺を遂げている。テートにロスコルームができたのは、3ヶ月経った5月28日だった。テートのロスコ室の模型が展示されていたが、それでは7点が同時展示されている。 3.シーグラム壁画展示室: 合計15点が一部屋にぐるりと展示されている。展示法はテートと異なり、一つの壁面に複数の画を間隔を空けずに掛け、テートより高い位置とし、天井より光を取り入れている。これによってテートより明るくなって、ロスコの指示に近づいたとのことであったが、わたしの感じでは従来の川村の暗い感じが払拭されて、とても見やすくなったと思う。↓は1面にかけられた5枚の壁画である。 ![]() 5.黒ー灰色の作品: 体力が衰えた1969年の作品。上部は黒く、下部は灰色で、そこにはブラッシュ・ワークが残っている。このようなロスコの画は内面に向かっているようである。一般にロスコの画は日本の伝統の色に近く、日本人しか分からないのではなかろうかという大胆な発言で締めくくられた。 終了後、林学芸員と直接にお話できる機会があったので、日本には「四十八茶・百鼠」という色彩を重んずる伝統があることをお話して、学芸員の結論に満腔の賛意を表しておいた。 百聞は一見に如かず。お勧めの展覧会である。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2009-02-21 23:24
| 現代アート(国外)
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