開山無相大師６５０年遠異諱記念展。プレビューに参加する機会を得た。写真撮影は限られたもの以外はOKということなので、会場の雰囲気を伝える速報記事を書く。なお、後期のブログ記事は
こちらである。
第１章 臨済禅ー応燈関の法脈： 入るとすぐに妙心寺の開山となった《関山慧玄坐像》↓が待っている。金色に輝き、荘厳な感じがするが、これは江戸時代の作なので、始祖を崇め奉っているのだろう。
有名な国宝《宗峰妙超墨蹟「関山」道号》↓に初めてお目にかかった。弟子の関山慧玄を妙心寺の開山として花園天皇に推薦した宗峰妙超（大燈国師）が、関山慧玄に「関山」の道号を与えたことを証するもの。
花園天皇の座所にあった美しい荘巌具の《瑠璃天蓋》が釣り下がっていた。明のものだが、銅の針金で多数のガラス玉を綴っている。この写真には、見慣れた顔が写っている。
第２章 妙心寺の開創ー花園天皇の帰依： 前期の《花園法皇像》は後期に出るものの臨本のようで彩色されていないので面白くない。《花園法皇坐像》↓はやはり江戸時代のものであるが、康知作ということで、迫力がある。
伝花園法皇料の《花唐草文様七条袈裟》↓は豪華きわまりない。
明時代の《山水楼閣人物図螺鈿引戸》↓は、その細工の精巧さに舌を巻きつつ、双眼鏡でエンジョイした。
第３章 妙心寺の中興ー歴代と外護者： 足利義満の時代の危機、細川勝元の外護、応仁の乱による焼失と復興、利貞尼の寺地寄進などの歴史の中で、僧の頂相や外護者の肖像や書状が沢山出ていたが、ここでは竜安寺に保存されている室町時代の《太平記》の写真を撮るだけとした。
第４章 禅の空間 １－唐絵と中世水墨画： コミカルな《福富草紙 巻上》が出ていた。有名な《瓢鮎図》は後期まで待たねばならない。《達磨・豊干・布袋図》↓は、やや退色しているが、面白かった。南宋時代のものである。
↓は、元時代の蔡山筆の《十六羅漢図》の一部。
↓は、狩野元信の《瀟湘八景》。
Art & Bell というこのブログでは、国宝の梵鐘（飛鳥時代、年号入り）↓を省くわけにはいかない。
第６章 妙心寺と大檀越ー繁栄の礎： 《豊臣棄丸坐像》と《玩具船》が並んで出ている↓。
《稲葉一鉄像》↓は、長谷川等伯の作である可能性が高いという。なるほど巧い。太刀が立てかけてあるだけで、奥行きの空間がさりげなく表現されている。
第７章 近世の禅風ー白隠の登場 お待たせしました。いよいよ白隠↓、↓↓。上段は、右から《自画像》、《関山慧玄偈》、《偈》。下段は、豪快な《達磨像》と《寿字円頓章》。天井にはサービスとして、法堂の天井画、狩野探幽《雲龍図》のコピー↓↓↓も貼りつけてある。
第８章 禅の空間ー近世障壁画の輝き： ここがメインイベント！ 妙心寺屏風は背が高く、堂々としている。まず、狩野元信の《四季花鳥図》。これは穏やか過ぎて他の絵に押されがちである。長谷川等伯の《枯木猿猴図》は圧巻である。右幅↓は子猿・親猿、左幅↓↓は手長猿。
↓は、海北友松の《琴棋書画図屏風》。
そしていよいよ真打登場。狩野山楽の《龍虎図屏風》↓、《文王呂尚・商山四皓図屏風》↓↓、《松図》↓↓↓と山雪の《老梅図襖》↓↓↓の勢ぞろいである。とくに山雪の老梅のうねりは怪怪奇奇。METの画像は
こちら。
最後を締めるのは、やはり水墨画。狩野探幽の《山水図襖》↓である。
Art & Bell としては、おまけとして《銅鐘 IHS紋入り》↓をアップしたい。切支丹禁制前の南蛮寺に置かれていたものである。
なんといっても最後の障壁画、とくに山楽の松と山雪の老梅の枝振りが本展覧会の両横綱であるが、素朴で男性的な松に軍配をあげたい。山雪はマニエリスティックでわざとらしい気がする。
美術散歩 管理人 とら
