おらんだの楽しみ方 ＠たばこと塩の博物館

　この博物館の開館30周年記念特別展の第５弾。　副題は「江戸の舶来文物と蔫録」。蔫録の蔫とはたばこのこと。蔫録とはタバコの研究書で、有名な蘭学者の大槻玄沢がまとめたもので、この展覧会の最後にはその稿本↓なども展示されていたが、ここではアートに関する展示↓↓に限って記事にする。１．憧れのオランダ：
○金唐革・・・ヨーロッパの加工革。外国では壁紙・屏風・家具に、日本では裁断して小物・袋物に貼って飾りとした。↓は金唐革一つ下げたばこ入れ。○更紗・・・木綿の布に文様を染めたもの。インド・ジャワ・シャム製が本物だが、ヨーロッパの模造品も入ってきた。↓はインド更紗利休形女持ち懐中たばこ入れ。○反射式覗き眼鏡・・・上下逆さまに置いた絵を鏡に映し、凸レンズで拡大してみる。絵は左右逆さまに描かれている。会場で実際に見ることができた！２．日本のオランダ風：
○和製ガラス器・・・ヨーロッパの鉛ガラスと違い、和製のガラスはソーダ石灰ガラスなので、強度・透明度ではやや劣るが、いろいろなものが造られていた。↓は下に置くことができず、注がれると飲み干してしまわないといけない「可杯（べくはい）」。↓↓は美しい藍色ねじり脚付ガラス杯。↓↓↓は、阿蘭陀船文ガラス入り鼈甲櫛。
○京阿蘭陀・・・ヨーロッパの銅板転写陶磁器を模して手描きで作られた皿。３．おらんだの店
○唐物・・・輸入品や日本製の異国情緒品の販売店。↓は国芳の《稚源氏東国初旅》より。４．ここにもおらんだ：
○草双紙《黄金山福蔵実記》・・・腹の中を見ることのできる不思議な眼鏡で、有名になった医者の物語。↓は、姫君の病気の原因をその眼鏡で探っているところ。○黄表紙《中華手本唐人蔵》・・・主を失った塩冶判官の家臣たちは、城を明け渡すことになり、名残を惜しんで望遠鏡で城を眺めている。城を預かった山名は家臣たちにメガホンで悪態をついている。５．浮世絵とおらんだ：　洋風の遠近法、陰影、枠付の浮世絵が沢山展示されていたが、ここでは北斎の《画本東都遊》の中から、オランダ人が泊っている長崎屋を覗く町人たちの姿だけをアップする。美術散歩　管理人　とら