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2012年5月1-2日の連続番組。第1回は甲巻の前半部で、偶然に見たのだが、とてもよかったので、翌日、第2回(甲巻後半部)も見ることとした。
この絵巻の実物は、京博の「大絵巻展」とサントリー美術館の「鳥獣戯画がやってきた!」でみているので、ほぼ全貌をつかんでいる。 高山寺本の鳥獣戯画には欠落や錯簡があり、甲巻はもともと次のような三巻構成だったとされている(参照)。 ・Ⅰ.甲巻前半部(高山寺本): ① 水遊び、 ② 賭弓 ・Ⅱ.甲巻後半部(高山寺本+東博断簡+長尾模本原本): ① 祭 礼 (東博断簡として現存)、 ② 相撲の節会 、 ③ 双六などの遊戯(一部のみ現存)、 ④ 法会と布施 (2ヶ所に分かれて現存)、 ⑤ 草合せ遊び 、 ⑥ 田楽舞い (現存後半部+長尾模本原本) ・Ⅲ.甲巻住吉部(益田断簡・MIHO断簡として一部現存): ① 競馬・競鹿 従って、前半部は単純で、「額縁」内での説明も単純である。「水遊び」(第1-4紙)の鼻をつまんで飛びこんだり、サルに水をかけたりするウサギのアニメーションなどは素晴らしい出来栄えだった。異時同図で描かれているが、サルが毛つくろいをしているウサギに水を掛けて意地悪をしているところやウサギが親切にサルに水掛けしているところの動きもよく分かった。 ![]() ![]() ![]() ![]() 前半部にくらべ、翌日の後半部はサンザンの出来だった。その理由の一つは、欠落や錯簡のある高山寺本をそのまま使ったため、解説が複雑になってしまったことである。 そこで、この記事では、勝手ながら、前述の本来の姿に戻した形のものの中に入っていったと仮定して話を進めたい。TVでもそのようにすればよかったのではないかと思う。 「祭礼」は高山本にはほとんど残っていないので、「相撲の節会」(第16-18紙)から話を始める。 ウサギの耳に噛みつくカエルは足を掛けてカワズ掛け。ウサギを投げ飛ばして快哉の叫びをあげるカエル↓。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 最後は「田楽舞」(第15紙)。編木(びんざさら)という楽器をもったカエルが綾蘭笠(あやいがさ)を見立てた蓮の葉をかぶって踊っている。 ![]() 美術散歩 管理人 とら
洛中風俗図屏風(舟木本)は東博でおなじみの重要文化財。「e国寶」の画像はこちらである。
![]() ・洛中風俗図屏風(舟木本) ・洛中洛外図屏風 (舟木本) リーフレット @東京国立博物館ミュージアムショップ ・洛中洛外図屏風 (舟木本) VR公開作品 @TNM&TOPPANミュージアムシアター 今回は、3DCG再現されたものがTVで放映されたので視聴してみた。(参照①、参照②) 「額縁」と同様に、画の中に入っていって画中の人物と会話するというものである。出入りする人間は、指南役が高橋克実, 弟子役が濱田岳。 3Dということだが、切り抜いた画中人物が動いているだけで、あまり立体的な感じはしなかった。やはり、すこしずらした二つの画像を立体視メガネで見るという方法でなければ、うまくいかないのかもしれない。 画の中に入った人物が、現在社会に戻ってきて、当時のものが現在にどのように残っているかというストーリーは、巧く出来ていて、立派な京都案内となっていた。花見弁当・扇子・着物などの過去と現在の比較などはとても面白かった。 番組中、「京都検定」が3問出ていた。飽きさせない工夫なのだろう。 ・第1問: この時代に始まった花見の楽しみ方は? ・第2問: 京都で生まれ、世界に広まったアイテムは? ・第3問: 京都で生まれた人気レンターテイメントは? この解答にもつながっていくのだが、番組のメモは下記のようである。 (右隻) 鴨川の東 ・抹茶の野点: 室町時代に始まった。一服1銭となっていたが、本当かな。 ・花見: 方国寺(豊国廟)、醍醐寺。 ![]() ・三十三間堂: 弓 ・方広寺: 大仏。盧舎那仏。 ・五条大橋: サクラの枝をもって踊る女性。 (左隻)鴨川の西 ・祇園祭: 山鉾、母衣(ほろ)、赤熊(しゃぐま)、神輿、扇子 ・錫師: 器 ・本屋: この時代から。 ・勧進聖: お布施集め。 ・扇屋: 女性の仕事。 宮脇祥三氏登場。大勢の場所では全開にしない。挨拶の際に、前において結界を作る。檜扇。源氏物語画の扇はプレゼント用。無地の扇は手紙の代用。扇面貼付天井画。 ![]() ・一条戻橋: 現世とあの世との境。易者が多かった。近くに晴明神社。 ・パワースポット: 地主神社、日向大神宮、鶴亀神社、祇園の芸者・上柳満彩美さん登場。安居金毘羅宮、戸隠神社。 ・八坂神社: 蹴鞠、囲碁。 ・四条河原の芝居小屋: 人形浄瑠璃、「山中常盤・あやつり」の看板。かっこいいカブキモノの出現。歌舞伎の発祥。 山口源兵衛,氏登場。カブキモノの着物=破れ格子・縞(交わらない⇒不服従)、蜘蛛の巣模様(桃山時代より)。着物が自分を変える。 ![]() 美術散歩 管理人 とら
現在、新美で開催中の「大エルミタージュ美術館展」にちなんだ番組。バライエティ番組特有の誇張した表現に辟易しながら、内容が良かったので最後まで見た。
女優の杏さんがナビゲーターとしてエルミタージュ美術館を訪れて、専門家や関係者の意見を紹介していくという流れ。 最後に、千足信行・池上英洋両氏の名前が協力者として出ていた。 1.レオナルド・ダ・ヴィンチの《リッタの聖母》と《ブノワの聖母子》: ![]() 結局、大英美術館に素描があり、重ね合わせるとこの油彩と一致することから、《ブノワの聖母》はレオナルドの真作であって、窓の外には空が描かれており、実在の母子をモデルに描いたものということに落ちついた。「泰山鳴動してネズミ一匹」とは、こういったストーリーの組み立てのことだろう。 番組では、未婚の母で早くレオナルドのもとを去って行った実母カテリーナを想って「母と子の愛」を込めた画であるとしていたが、こういうのを「転んでもただでは起きない」というのだろう。 2.レンブラントの裸婦像《ダナエ》: ![]() 模型で実験してみると、余計な陰影をなくすためには、光源の位置と大きさが重要であることが判明した。すなわち、この場合のレンブラント光線の光源はボリュームがあって近いことが必要なのであった。 3.マティスの《赤い部屋》:(参照) 子と妻をなくしたシチューキンが購入を申し出た際には、この画は《緑の部屋》だった。このことは写真にも残っているし、現在の画の端に緑色がのぞいていることからも分かる。 《緑の部屋》と《赤い部屋》を見た時の脳波を比較すると、「緑」ではα波優位(脳が癒された状態)となるが、「赤」ではいったんβ波優位(脳が活動的な状態)となり、しばらくしてαとβが同程度の状態(脳の癒しが強調された状態)に変化することが判明した。後者における時間的変化は、緑の窓を見たためだということも分かった。 この画を日本に運ぶために壁から外されるところも放映された。今回の展覧会の宣伝である。なにせ、番組も展覧会も同一スポンサーなのである。 4.ヒットラー VS 市民: 第2次大戦時、サンクト・ペテルブルグがドイツ軍に包囲され爆撃を受ける前に、市民の協力のもとに、8日間で枠から外した絵画を運び出した。大きなレンブラント《放蕩息子の帰還》は巻いて搬送した。 ![]() この最後の話はとても良かった。ナビゲーターの杏さんは、「この美術品を守った女性たちの全人類に向けての活動に対して、心からお礼をいいたい」と締めくくった。 美術散歩 管理人 とら ![]() ![]() 昨日、NHKで美術館紀行「メトロポリタン美術館Ⅲ」を観た。第二次大戦直後には、アメリカ人は日本人に対して嫌悪感をもっており、日本美術好きのアメリカ人はいたものの、メトロポリタン美術館が日本美術を購入するようなことは夢にも考えられなかったとのことである。しかし朝鮮戦争の際に、日本がアメリカの同盟国になったことで、その偏見が払拭され、一方アメリカを巡回した「日本国宝展」のすばらしさが日本美術への認識を深め、1950年代になるとメトロポリタン美術館でも日本美術の購入が始まった。そこで、今回の展覧会では、通常のような観賞の他に、光琳の署名と印章をいちいち見て回ることになった。 それはひとまず置いておいて、まずは肝心の二屏風の比較からはじめたい。これについては、旧知のアートブロガー「はろるど」さんのシンポジウム・メモのプリントアウトを持参した。 1.制作時期:燕子花図は40代半ば、八橋図は50代の半ば頃に描かれた。⇒信用 2.サイズ:燕子花図は八橋図よりも縦長で、横に短い。⇒確認 3.彩色:燕子花図は厚塗り。群青が際立つ。八橋図は薄塗りで輪郭線がわかる。全体に明るく、花びらにも色のグラデーションがある。⇒確認 4.橋のたらしこみ:八橋図の左隻にあるたらし込みが右隻では少ない。なお橋は何故か7つしかない。⇒確認 5.花の形態:燕子花図の花は大きく重い。また左隻の花には金泥が混じるが、右隻にはない。一方の八橋図はスリムな上、花びらが横へのびるカキツバタの性質をよく再現している。⇒確認 6.花群:燕子花図には花群の型紙由来のコピーがある。八橋図は同一作にはないが、燕子花図から取り入れたと思われるイメージが計4箇所見られる。⇒確認不能 7.構図:八橋図は一つの視点から眺めた構図で描かれている。燕子花図は左右で視点が違う。右隻は正面性が高く、左隻は対角線上に上からのぞき込むような視点。⇒確認 8.視覚効果:八橋図を右横から見ると橋の水平部分のみが、左横から見ると橋の斜めの部分のみしか見えない。⇒確認 さて、この二つの屏風の署名と印章は↓のようである。 ![]() わたしの祖父が持っていた澤田章編「日本画家大辞典」(大正2年7月1日初版、8月1日三版、啓成社)が手元に残っている。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 酒井抱一の《光琳百図》の中に、光琳の《八橋図》を模したものがあるとのことで、大きなパネルで紹介されていた。これを見ると、橋桁や燕子花にはいくらか似ていないところもあるが、署名はソックリであることを確認した。(↓はクリックで拡大します) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 美術散歩 管理人 とら
同じ美術館で「セザンヌ展」とこの「大エルミタージュ展」という二つの大きな展覧会が開かれていることは特筆に値する。昨年は東日本大震災の影響で「プーシキン美術館展」が中止になるなど大変な年だったが、それから1年が過ぎて、ようやく平穏に戻ってきたのである。それにしても、このような「大展覧会」を二つ同時に開催できる国立新美術館のスペースの広さは威力である。
![]() ![]() 展示は、世紀別に5章に分かれている。 第1章 16世紀 ルネサンス:人間の世紀 ・ティツィアーノの 《祝福するキリスト》: 再見だが、万物の支配者を暗示するクリスタルを持つキリストの姿は美しいだけでなく、迫力がある。色彩の効果である。 ![]() ![]() ・レオナルド派《裸婦》: Bunkamuraの「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」にも出ていた《裸のモナリザ》。倒錯的な感じがして、あまり好きになれない。 ・バルトメオ・スケドーニ《風景の中のクピド》↓と《聖家族と洗礼者ヨハネ》: 幼子キリストの意味ありげな目つきが愛らしく、スケドーニ特有の歯切れの良い彩色が好ましい。お気に入り! スケドーニはバロックの画家とされることが多いのだが、今回の作品は16世紀末-17世紀初めということで第1章に入っているようだ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ・ヴェロネーゼ《聖会話》: 画の中の紋章は、画の依頼者であるカステリ家のもの。 ・ボルドーネ《貴婦人と少年》: ジョルジョーネ風横臥裸体画。背景にマルスとクビドが描かれている。 ・ジュリオ・カンピ《男の肖像》: 女性画家。 第2章 17世紀 バロック:黄金の世紀 ・ルーベンス 《虹のある風景》↓の虹は夢の象徴。オヴィディウスの「変身物語-黄金物語」によるとのキャプションの説明も、私には猫に小判。もう少し親切な記載がほしい。手前の土俗的風景と動的な背景のコントラストに目が行く。 ![]() ![]() ![]() ![]() ・ホントホルスト《幼少期のキリスト》 ・ブルーマールト《トビアスと天使のいる風景》: 不思議な風景。 ![]() ・ヤン・ステーン《結婚の契約》: 女性の大きなお腹に手を当て、デキチャッタ結婚を迫る母親。くびき=結婚の契約。割れた卵・空の鳥籠=失った純潔。この画は「エカテリーナの遺産」展で見た。 ・ウィレム・クラースゾーン・ヘダ《蟹のある食卓》 第3章 18世紀 ロココと新古典派:革命の世紀 ここはお気に入り多数。 ・ブーシェの《クビド》2点ー「画の寓意」と「詩の寓意」。後者は「エカテリーナの遺産」で見た。 ・シャルダンの《洗濯する女》: 再見。母親が選択する間、おとなしく坐ってシャボン玉遊びをしている子供。外では別の女性が干しもの。 ・ヴィジェ=ルブラン《自画像》↓: この画は、三菱一号館美術館の「ヴィジェ=ルブラン展」でみたばかり。 ![]() ・クロード=ジョセフ・ヴェルネ《パレルモ港の入口、月夜》↓: 見事! ![]() ・ロムニー《ハリエット・クリーア夫人の肖像》 ・ジュシュア・レノルズ《ヴェヌスの帯を解くクビド》↓ ![]() ![]() ・ピエール・ナルシス・ゲラン《モルフェウスとイリス》↓: モルフェウスは夢の神。モルヒネの語源。眠りの神の息子。イリスは虹の神。 ![]() ![]() ・コロー《森の中の沼》: 赤い帽子が得意のアクセント。 ・テオドール・ルソー《グランヴィル近郊の眺め》: 再見。本作品はバルビゾン派の宣言とみなされる重要作品とのこと。画中の荷馬車はコンスタブルの影響。 ・レオン・ボナ《アカバの酋長たち(アラビア・ベトラエア)》: 強い色彩のオリエンタリズム。 ・ジェイムズ・ティソ《廃墟(内なる声)》: キリストの周囲に光。老夫婦はキリストに気付いていない。ティソはこんな画も描くのだ。 ・シスレー《ヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌ風景》: 見事! ![]() ![]() ・シニャック《マルセーユ港》: 美しい点描。 第5章 20世紀 マティスとその周辺:アヴァンギャルドの世紀 ・アンリ・ルソー《ポルト・ド・ヴァンヴァから見た市壁》: 穏やかな素朴画。 ![]() ・マティス《赤い部屋(赤のハーモニー)》: 今回のメダマ。ポスター参照。画像はこちらで。 【追 記 1】 本邦では、東武美術館において、1992年から1996年まで5年連続で開かれた幻の「エルミタージュ美術館展」の評判がすこぶる良かった。(1992年:17世紀オランダ・フランドル、1993年:イタリアールネサンス・バロック、1994年:フランスーバロック・ロココ、1995年:19‐20世紀フランス、1996年:16 -19世紀スペイン) 今回はこの中の17点に再会することができた。 今回の展覧会は、2004年には東京江戸博物館で開かれた「エカテリーナの遺産」や上述の2006年に東京都美術館で開かれた「大エルミタージュ美術館展」の不評を吹き飛ばすものだったといえる。 【追 記 2】 二階の「大エルミタージュ美術館展」と一階の「セザンヌ展」との比較 とら: どちらが良かった? 家内: どちらにも良いところがあって・・。 とら: そんな「ローマの休日」みたいな答えはダメ。 家内: やっぱり「エルミ」、断然「エルミ」。 とら: twitter で、みんなにきいてみよう。 美術散歩 管理人 とら
1月17日、もと阪神タイガースのエース 小林繁さんが急逝された。57歳の若さで各方面から惜しまれている。
わたしのハンドルネーム「とら」は小林繁投手に関係している。1978年の「空白の一日騒動」によって、心ならずも江川卓投手と交換トレードされてしまった小林投手に操をたてて、わたしもそれまでの巨人ファンから阪神ファンに転身したのである。 わたしの祖父は巨人ファン、父は阪神ファン、子供の頃のわたしは巨人ファンだった。このような父子関係の連鎖を持ち出すまでもなく、当時は「巨人・大鵬・卵焼き」といわれたように普通の子供は巨人ファンが大多数だった。 小林はサイドスロー投手で、1976年から2年連続18勝をあげて活躍し、77年には沢村賞を受賞するなど巨人の中心選手であったのでわたしは特に好きだった。 小林は阪神に強制移籍されて発奮し、その年巨人に8連勝し、年間22勝の最多勝投手となった。帽子を飛ばしての熱投は今も目に浮かぶ。 ![]() わたしのこういった思いの核をなしていた小林繁投手が突然この世から消えてしまい、本当に淋しい。心から哀悼の意を捧げる次第です。 美術散歩 管理人 とら
初めてのブログです。鈴や鐘のコレクターと意見を交換したみたいと思って作りました。よろしくお願いします。
以前から、美術鑑賞のホームページを作っています。このブログはむしろその番外編です。よろしかったらこちらにもどうぞ。ハンドルネームは「とら」。これは単にタイガースファンという意味です。 美術散歩 管理人 とら 【追 加】 ブログの名称変更 2005.12.23 今まで「ベル・コレクション」として使ってきましたが、今後は「アート」などに間口を広げることにしました。ブログの名称はさしあたり「Art & Bell」です。よろしくお願いします。 < 前のページ次のページ >
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