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ずいぶん昔のことになるが、滞米中クルマでフィラデルフィアに行ったことがある。有名な独立記念堂で『自由の鐘』をみてから、この美術館に行った。この自由の鐘についてはブログに書いている。
美術館の前には長い階段があった。今日の展覧会場でやっていたビデオを見ると、みんなこの階段を駆け上がっている。映画「ロッキー」の中で、シルベスタ・スタローンがこの階段を駆け上がっているシーンが有名になってからだという。 昔話はさておき、上野の公園口を降りると、美術展の立て看板が並んでいる。東京都美術館に着くまでに4個の立て看板があったが、いつもと違っている。画と宣伝文句がそれぞれ異なっているのである。 1.ルノワール《大きな欲女》・・・ルノワール「裸婦」最高傑作。日本初公開。この美術館は「大エルミタージュ美術館展」でも派手なチラシをつくっていたが、今回のチラシも結構派手。 第1章 写実主義と近代市民生活 コローが2点。《泉のそばのジプシー女》は珍しく肖像画。《テルニの山羊飼い》は夕陽が美しい。クールベの《スペインの女》はコレラに罹った画家を看病したとのことであるが、マイ・タイプではない。クールベのもう一点《海辺に横たわる裸婦》は奇麗な海とヌードとがミスマッチであるが、当時はこの画が官能的であると非難されたとのこと。 ブーダンの《トゥルーヴィルの眺め》は雲が主役で、「空の王様」と呼ばれたこの画家の面目躍如。この画家の《エトルタの浜辺》は有名なアヴィルの崖を描いたものであるが、人物のいない海岸の画はブーダンにしては珍しい。 マネの《キアサージ号とアラバマ号の海戦》は大作である。北軍のアラバマ号がが沈没しようとするところ。劇的なシーンで、ロマン主義絵画のようである。これはこの部屋のお気に入り。マネの《カルメンに扮したエミリー・アンプル》は北アフリカ出身のモデルでカルメンの感じが出ている。黒い扇が印象的である。 第2章 印象派とポスト印象派ー光から造形へ ドガが2点。このうち《14歳の小さな踊り子》は、ブロンズであるが、胴着や靴は革製、スカートは毛糸製ではないかと思われた。親しみやすいポーズである。もう一つの《室内》は、それとすぐ分かる二人なのに、会場の説明が的外れ。アサヒグラフ別冊「美術特集 ドガ」では、しばしばこの画は《強姦》と呼ばれたり、ゾラの「テレーズ・ラカン」と関連づけて、テレーズとその愛人ローランがテレーズの夫を殺害してから2年後の婚礼の夜を描いたとの説があることを紹介している。 モネは5点出ていたが、《マヌポルト、エトルタ》、《アンティープの朝》、《ポプラ並木》などはモネ好きの日本人には受けそうである。 ルノワールが4点。《大きな欲女》は麦藁帽子と衣服が描きこまれているが、よくみる浴女で、これがどうして最高傑作なのか分からない。いったい誰が「最高」と判定するのだろうか。大体、ウィーン美術史美術館に類似の作品がある。《レース編みをする少女》は良かった。金髪、白い模様の洋服、背景の青緑の取り合わせが絶妙である。《ルグラン嬢の肖像》は、ブリジストン美術館の「ルノワール展」の図録の表紙↓になった人気作品。久し振りで再会した。 セザンヌの画が2点。そのうちの《セザンヌ夫人》は出色のでき。斜めを向いた顔、葡萄のつるや壁など屋外であることを示す背景など印象深かった。ロダンの彫刻が2点。ソローリャの《幼い両生類たち》の水辺の子供に当たる光の反射がまぶしかった。アンリ・ルソーの《陽気な道化たち》はまあまあ。 第3章 キュビスムとエコール・ド・パリ 有名なピカソの彫刻《道化師》や油彩画《三人の道化師》を観られて良かった。後者は、ピカソ=ヴァイオリンを持つアルルカン、アポリネール=縦笛を持つピエロ、マックス・ジャコブ=アコーディオンを持つ修道士の取り合わせが面白い。平面的なキュビスムの傑作である。しかし、同じ画をMOMA展でも見ている。そのほかにキュビスムの作品がたくさん出ていたが、ちょっと飽きる。 カンディンスキーの《円の中の円》などは見ていて気持ちが良い。 マティスでは《青いドレスの女》。意外と大きくない作品であるが、美しい。内覧会で檀ふみが同じ服装をしたとか。音声ガイドも彼女の声らしい。 デュシャンの《画家の父の肖像》というまともな画が出ていて驚いた。黒と淡青色だが日本画の「たらしこみ」のように絵具の滲みを使っているところが面白い。クレーの《魚の魔術》やシャガールの《自画像》も良かった。 第4章 シュルレアリスムと夢ー不可視の風景 お気に入りは、ミロの《月にほえる犬》、マグリットの《六大元素》・・・炎・裸婦・森・建物・雲・鈴というお得意のものたち。 第5章 アメリカ美術ー大衆と個のイメージ サージェントの《リュクサンブール公園にて》、カサットの《母の抱擁》は優しい画である。シーラーの《ヨットとヨットレースについて》も面白かった。オキーフの《ピンクの地の上の上の2本のカラ・リリー》のピンクと緑がかった白が美しい。画家は、黄色のおしべに性的な意味をもたせることはなかったとのことである。ワイエスの《競売》はそこそこ。若い時の作品だから珍しいが、本場の美術館だけにもう少し静謐なワイエスも観たかった。 さて看板に偽りありや否や。誇大広告的な表現も少なくなかったが、すべてが完全に間違っているとまではいえない。総括すると、この展覧会は西洋近代絵画の教科書である。いささか総花的であるということである。反面、肩の凝らない展覧会であるともいえる。事実、混んでいる割には渋滞はなかった。これが企画者の狙いだったのかもしれない。 美術散歩 管理人 とら HP
by cardiacsurgery
| 2007-10-12 22:11
| 国外アート
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