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この作品は、画面中央に真っ白なカンヴァス、その前に憔悴しきった鴨居が座っている。その手には画筆はない。カンヴァスの周囲には、廃兵・道化・裸婦・インディオなど、鴨居がそれまでに描いてきた対象が取り囲んでいる。鴨居は「これ以上何を描けというんだ」と呟いているようだ。鴨居が自死するのは1985年、この画を描いてから3年である。 家内のHP「和の美術」の該当記事はこちらだが、「鴨居の写真を見ると 大変彫が深い、”高倉健”風のハンサムな方です。俳優になったら人気がきっと出たでしょうにと個人的には思いました」と書いている。 鴨居玲の作品としては、石川県立美術館で《望郷を歌う》などを見ているが、回顧展を見るには今回が初めてである。 頂いてきた図録(↓)を読んでから、出かけたので、ちょっと頭デッカチの記事になってしまうかもしれない。(↓左)は、1985年、鴨居が自死する半年前に描かれた作品。左胸に飾った4つの王冠は若かりし頃に得た栄誉を象徴しているのだろうか。それにしても鴨居の顔は「もう描けない」と叫んでいるようである。 右の《静止した刻》は、1969年、第12回安井賞受賞作。これが鴨居の画壇への本格的なデビュー作であるが、このとき鴨居はすでに41歳となっていた。 チラシ裏面の画像で、上記に挙げなかったものは、以下の4点である。 《踊り候え》は、1979年のデッサン(パステル、紙)の酔いどれ男は鴨居自身。1975年に同じテーマの油彩画を描いている。こういう堅牢なマティエールの作品は鴨居の絶頂期のものである。 《蛾》は1976年の作品。暗く重厚な画面の多いスペイン時代の鴨居の画と比較すると、このパリ時代の作品は淡く柔らかな色調である。同様な作品として、《風船》1976年も出ていた。 《教会》は、鴨居の好んだテーマで、今回の展示作品を年代順に並べると下記のようである。 1.赤褐色の夜の写実的な《パリ郊外の教会》1960年 笠間日動美術館これらの多数の《教会》はキリスト教の実像表現であるが、《教会》が次第に空中に上昇していくところに、鴨居の神に対する畏敬の念の変貌を知ることができるのではなかろうか。 鴨居の度重なる自殺未遂、狭心症(?)による入院といった病歴は、鴨居玲の「病蹟学」(pathography)」 研究が重要なテーマであることを意味している。この点については、長らく鴨居と同棲し、その写真を撮り続けた富山栄美子の証言が重要である。最近、講談社から出版された長谷川智恵子著の「鴨居玲 死を見つめる男」には、そのことが記されているようである。ステーションギャラリーのショップで手に取って見たが、パリ時代の自殺未遂のことに触れられていた。 鴨居玲とは、不可思議な画家である。5年毎に回顧展が開かれ、その度にファンが増えていくとのことである。私が見に行った日にも、観客は女性が多かった。マザコン & シスコン(?) で、超ハンサム・ボーイの鴨居には女性の母性本能をくすぐるものがあるのかもしれない。 このことの当否はともかく、いろいろと勉強になる展覧会だった。お勧めします。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2015-06-06 08:32
| 近代日本美術
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