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これは、昨晩2月5日のこと。Takさんから HAPPY PLUS LECTURE の連絡を頂いていたので、浜松町の貿易センタービルで開かれていた会議から、山手線と都営地下鉄を乗り継いで、神保町の会場にまわった。
途中、有楽町駅と日比谷駅の乗り継ぎや神保町駅から地上に出るまでの複雑で time-consuming なことには辟易した。 会場では、偶然に旧知のMizさんの隣り、Zaikabouさんの前に坐ったので、しばし旧交を温めた。 講師の牧野健太郎氏は、NHKプロモーションプロデューサー。 今回のレクチャーには、自分のPCに保存してある浮世絵画像データを自在に取出して使われた。画像のプレゼンテーションの際に、これを切り出し・拡大しても鮮明な画質が保たれていたので驚いた。 「江戸コード」とは、山、橋、魚、市場、舟、波、猫、亀、着物や建具の模様など、浮世絵のなかに描かれているアイテムだが、江戸時代ならではの意味を帯びていることが多く、その「意味」を知るためには、それらのアイテムに秘められた「暗号」を解読する必要がある。 Ⅰ.押送船と日本橋 1)北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 Big Wave というニックネームから Tsunami を連想する人が少なくないが、富士山が世界遺産に登録されたから Mt. Fuji と認識されるかもしれない。 北斎や広重は輸入「べろ藍」を濃青、淡青、輪郭線と自在に使っていて、外国では「日本の色」と認識されるようになった。 【江戸コード1: 船】 場所は「神奈川宿」すなわち横浜駅付近の海。南風による大波に翻弄されつつ、8人が必死に漕いでいる船は「押送船」と呼ばれる高速運搬船。 【江戸コード2: 富士山】 この押送船が木更津から日本橋の市場へ新鮮な魚を届けているものであることは、小さく描かれている富士山の位置を見れば分かる。富士山は江戸の西方、筑波山は江戸の東方を示していることは当時の常識。 2)広重《東海道五十三次 日本橋 朝之景》 【江戸コード3: 棒手振り】 右の4人は魚屋で、頭に載せた桶の中は初鰹と鯛らしい。天秤棒に吊るされた籠の中の「まな板」で、このまな板と包丁で魚を捌いてくれた。左側の八百屋が担いでいる籠の中は、練馬大根・ごぼう・小松菜らしい。 【江戸コード2: 富士山】 描かれた富士山の方角が西。江戸城も見えている。 Ⅱ.地下鉄・銀座線 江戸散歩 1)渋谷・青山(参考: 青山渋谷絵図) ・広重《不二三十六景 東都青山》: 【江戸コード2: 富士山】 画面中央の街道は現在の国道246線(矢倉沢往還、大山街道)で、宮益坂の上から眺めた富士山が描かれている。街道奥の両側に描かれた町屋は渋谷。宮益坂は、富士見坂とも呼ばれていた。 ・北斎《冨嶽三十六景 青山圓座枩》 【江戸コード2:掃除】 竹の支柱で支えられた松の下には、落ち葉を掃除する足だけがチラリと見えている。 2)赤坂・溜池・虎の門(参考 今井谷六本木赤坂絵図) 【江戸コード2: 桐】 溜池の西岸には成長の速い桐が植えられ、桐畑と呼ばれていた。 左図は赤坂方面から東南方に広がる溜池を描いたもので、左手に見える丘が山王台地、右図の正面に見える坂道は現在の赤坂見附駅から永田町駅に登っていく坂である。 ・広重《東都名所 永田馬場山王宮》: ・広重《名所江戸百景 虎の門あふゐ坂》: ・広重《東都名所坂つくしの内 葵阪之図》↓ / 広重《江戸名勝図会 虎の門》↓↓: ↑↑図では、お濠端の縁日の賑わいが絵の下部に描かれており、滝が溜池から落ちてくる。 ↑図では、讃岐丸亀藩・京極家では、毎月10日に限り、藩邸の裏門を開いて、町人にも邸内に祀られた金比羅宮への参拝を許可したことが示されている。 ・広重《東都名所 東都名所金毘羅坂上》: ・広重《江戸名所 溜池山王の社》: ・北斎《諸国瀧廻り 東都葵ヶ岡の瀧》: 3)浅草(参考 今戸箕輪浅草絵図) ・広重《名所江戸百景 浅草酉の市詣》: この「江戸コード」シリーズは今後も続くようであるが、作品名をメモするのが大変なので、できれば「提示予定作品リスト」を含む「レジメ」を前もっていただければ大助かりである。 今回は、快調なペースで話される牧野節レクチャーに思わず引き込まれた。 美術散歩 管理人 とら
by cardiacsurgery
| 2015-02-05 23:50
| 浮世絵
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